和食をもっとカジュアルに! サプライズのある一皿が感動を呼ぶ、銀座に誕生した割烹『せろ』

2019年03月16日
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和食をもっとカジュアルに! サプライズのある一皿が感動を呼ぶ、銀座に誕生した割烹『せろ』
Summary
1.新感覚日本料理が評判の『可不可』のオープニングシェフを務めた伊藤憲二シェフが独立し、銀座に和食店をオープン
2.モダンオーストラリア料理の経験をもとに、自由な発想の日本料理を提供
3.フードにもお酒にも、さまざまなサプライズが仕込まれている

日本料理をもっと気軽に! 銀座に誕生した『せろ』

日本人にとって最も身近なジャンルのはずなのに、なぜか敷居が高く感じられるのが“和食”ではないだろうか。特に料理人と対面する形になる寿司店や割烹などは気後れしがち。

だが、そんな堅苦しいイメージを払拭して、カジュアルに楽しみながら、和食の新しい世界を見せてくれる、新しいスタイルの和食店『せろ(CERO)』が銀座にオープンした。

東京メトロ銀座駅から徒歩4分。コリドー街の賑わいを背に、ひっそりした路地を入ったビルの2階、大きくとられた窓から温かな灯りが見える。

入った瞬間に目をひくのは、中央のカウンター席。対面がそのまま調理台になっていて、この7席はまさにシェフズテーブルだ。

席数がわずか13席なので、どの席からもキッチンが見え、調理の進行が手に取るようにわかる。品書きと調理の様子を見比べ、今何が作られているのかを見ながら会話が弾む。

本格的な和食料理人が、オーストラリアで覚醒

▲伊藤憲二シェフ(写真上・左)と、スタッフの山崎将弥さん(同・右)

伊藤シェフは岐阜県出身。大阪、京都などの伝統的な日本料理店で修業を積んだため、「その当時は、和食の伝統的なスタイルを追求するタイプの料理人でした」(伊藤シェフ)と振り返る。

そんな伊藤シェフに大きな転機が訪れたのは、2002年にオーストラリア・メルボルンに移住したときのこと。モダンオーストラリア料理を提供する『TAXI DINING ROOM(現TAXI KITCHEN)』などで5年間シェフを務めたことで、料理観が大きく変わったという。

「オーストラリアは移民の多い多民族国家。世界各国の料理人が混ざり合った調理場では、『料理はこんなに自由でいいんだ』と驚くことが多く、いろいろな発見があって本当におもしろかったですね」(伊藤シェフ)。

そこから「料理に小さなサプライズを加えること」を心がけるようになったという。

帰国後は、和食店『春秋』『暗闇坂 宮下』などを展開してきた宮下大輔氏に請(こ)われ、2015年5月に新感覚の日本料理店『可不可 KAFUKA TOKYO』(かふか/麻布十番)のオープニングシェフに就任。

その後独立し2018年11月19日に『せろ』をオープンしたのは、もっと気軽なスタイルで楽しめる和食を提供したいと考えたからだという。

「和食を、肩肘はらずカジュアルに食べてもらいたい」

料理は1品が2人前のボリュームだが、注文するとほとんどの料理を一人前ずつきれいに盛りつけて出してくれる。そのため、品書きからその時食べたいものを自由に選んでも、コースのように楽しむことができる。

7,000円のおまかせコースもあるが、「和食を、肩肘はらずカジュアルに食べてもらいたい」という伊藤シェフの想いの通り、食べたいものを少しずつ食べるのがおすすめだ。

▲乾杯のおすすめは、丁寧に仕込まれた「自家製レモンサワー」(写真上)

どの料理にも忍ばせられた“小さなサプライズ”!

鮮やかな緑に目を奪われる「クエ 菜花 かぶ浅づけ」(写真上)。菜花を色鮮やかに茹でてピューレソースにし、鮎魚醤(鮎をすりつぶし、塩を加え発酵させた調味料)で味を調えてオイルを加えている。

菜花ソースは、菜花のフレッシュなほろ苦さと魚醤の奥深く複雑なうまみが融合した絶妙な味わいで、濃厚なうまみのあるクエを、驚くほどに引き立てている。そのソースをかぶ浅づけにからませると、かぶのほのかな甘みと融合して、また違う味わいに…。一品目からノックアウトされた気分だ。

「赤皿貝 ポンズ パクチー」(写真上)は、パクチーのエスニックな香りで、赤皿貝の複雑なうまみがさらに引き出され、ワインにも日本酒にも焼酎にも合う絶品の肴となっている。

小ぶりのホタテほどの大きさの「赤皿貝」はまるでホタテをぎゅっと濃縮したようなうまみが持ち味。小ぶりなため、ヒモも肝もすべてひとくちで食べられ、複雑な味わいが楽しめる。

「タラ白子天ぷら 加賀蓮根 山葵」(写真上)は、天ぷらのイメージを覆(くつがえ)す椀盛りの餡かけスタイルで登場。

薄い衣に包まれた白子天ぷらは、外がカリカリで中は半生のクリーム状。だしの効いた餡とワサビの相乗効果で、「白子の一番おいしい食べ方ではないか」と思うほど。

その下には、すりおろした加賀れんこん(金沢の伝統野菜)を丸めて揚げた団子が置かれる。粘りが強い加賀れんこんには、まるで餅のような食感と独特の甘みがある。

メインとシメにも仕込まれた、美味の掛け算

「エゾシカのロースト ビーツ ケール」(写真上)は、シンプルに焼き上げたエゾシカに、鳥取『北条ワイン醸造所』製の珍しい国産マデラワイン(酒精強化ワイン)を煮詰め、バニラの香りをつけたソースを添えている。

鹿肉は赤みを残した絶妙な焼き加減で、ナイフを入れた瞬間に分かるやわらかさ。クセのないあっさりした風味だが、そこに熟成させたマデラワインのこっくりした甘み、ほのかな苦み、バニラの香りが加わると、閉じ込められていた深いうまみの扉が一気に開く。

さらに、このソースのバニラ香は、添え野菜であるケールの野性味あふれる苦み、ビーツの素朴な甘みも抜群に引き立たせる。

「白エビとしそのごはん」(写真上)は、軽く揚げた白エビと赤シソのふりかけを炊きあがったご飯に混ぜ込んでいる。揚げることで白エビの芳ばしさが倍増し、油のコクも加わるため、米のうまみ、甘みが最大級に引き出されている。さらに食欲をそそる赤シソの香りで、満腹でも箸が止まらない。

炊き込みご飯に白エビを使うのは、単においしいからだけではない。白エビはきちんと資源管理されており、漁獲量や漁期など、さまざまな管理基準が定められているからだ。

「天然の魚は、きちんと資源管理されているものを積極的に使いたい」というのが、伊藤シェフの強いこだわりだ。

お酒のラインナップにもサプライズを

「サプライズのあるものを提供したい」という伊藤シェフの精神は、お酒のラインナップにもよく表れている。

日本酒(写真上・左)もワイン(同・右)も、よくあるものは敢えて置かず、お酒好きな人が「こんなお酒があるんだ」とおもしろがり、興味を持ってくれるような特徴のあるものを選んでいるという。

一つひとつの料理に小さなサプライズがあり、そこから伊藤シェフの「楽しんでもらいたい」という想いが伝わってくる。

さまざまな意味で料理人と食べる人の距離が近く、言葉は交わさなくても料理を通して伊藤シェフと会話をしているような気持ちにさせてくれる…、『せろ (CERO)』はそんな店だ。


【メニュー】
無農薬グリーンサラダと加賀蓮根 1,300円
クエ 菜花 かぶ浅づけ 1,800円
赤皿貝 ポンズ パクチー 1,600円
タラ白子天ぷら 加賀蓮根 山葵 2,000円
エゾシカのロースト ビーツ ケール 3,800円
白エビとしそのごはん 1,800円
自家製レモンサワー 600円
日本酒(グラス)800円~
ワイン(グラス)1,000円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。
http://www.ginzacero.com/

せろ CERO

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座7-2-20 銀座第一金井ビル2F
電話番号
050-3466-2602
営業時間
月~土 ディナー:17:30~23:30
定休日
毎週日曜日 祝日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/aaajmgpz0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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