名店『鮨かねさか』仕込みの卓越した技が光る! 新進気鋭の職人が握る絶品寿司『すし家祥太』

2020年02月25日
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名店『鮨かねさか』仕込みの卓越した技が光る! 新進気鋭の職人が握る絶品寿司『すし家祥太』
Summary
1.とにかく寿司が好き!『鮨かねさか』で修業した若手職人の店『すし家 祥太』【麻布十番】
2.こだわりはシャリにあり! ネタとシャリが一体となって奏でる極上のハーモニー
3.日本酒も見逃せない。寿司をつまみながら楽しむ一杯がそろう

寿司好き注目! 麻布十番にオープンした若き職人の店

寿司は日本を代表するグルメとして、今や世界中の人を魅了している。その魅力にすっかり魅せられ、名店『鮨かねさか』でひたすら修業し、独立した若き職人の店が、麻布十番に誕生した。

それが『すし家 祥太(しょうた)』だ。名店仕込みの店主が握る端正な寿司は、早くも寿司好きのグルマンたちの間で話題を呼んでいる。

飾り気のない凜とした佇まいが店主の気概の表れ

東京メトロ南北線・麻布十番駅から徒歩3分ほど。飲食店が立ち並ぶ中に『すし家 祥太』はある。小さな店構えながら、白木の扉が際立つ凜とした佇まいから店主の気概が伝わってくる。

店内は、茶室をイメージしてデザインされ、余計な飾りはなく、シンプルで清潔感にあふれている。中央にドンと置かれた檜の一枚板のカウンターが堂々として清々しい。

席はカウンターのみ8席。メニューは、ランチ、ディナー共に13,000円のおまかせコースのみ。夜は2部制となっている。寿司そのものがとにかく好きと語る店主。訪れる人にもおいしい寿司をたくさん食べてもらいたいと、小鉢2品の後は、寿司14貫が一貫ずつ、次々と出てくるスタイルだ。

寿司が好きの一念で切り開いた道

店主の祥太さん(写真上)は韓国出身。漫画『将太の寿司』を読み、寿司の世界に憧れたという祥太さんは、韓国でもナンバーワンと言われる寿司店で働き始めた。しかし、本場日本で修業したいという想いが強く、ツテもなく単身日本に渡った。

来日した当初は、言葉の壁もあって修業先も中々見つからず、帰国を考えるようになったという。最後にせめておいしい寿司を食べて帰ろうと入った銀座『鮨かねさか』で、寿司にあこがれて日本に来たことや、寿司を学びたい気持ちを伝えると、オーナーの金坂真次氏に会えることになり、トントン拍子で『鮨かねさか』で修業することが決まった。

ホール担当から下積みを始め、お客の前で握らせてもらえるようになったのは修業5年目からだ。

「修業時代は、休みの日には築地に出掛け、安い魚を買ってきて、魚のさばき方などを勉強しましたね。市場では、魚の目利きも養おうとたくさん質問したので、最初は仲卸の方々からうっとうしがられました」と笑顔で語る祥太さん。その並々ならぬ努力に一人前の寿司職人になりたいという決意の程がうかがえる。

やがて、その努力が実り、『かねさか』の系列店で、予約困難と言われる赤坂『鮨 一新』で二番手を務めるまでになる。そして、満を持して32歳の若さで独立。店内には、金坂氏から借り受けたという魯山人の額や器が飾られているが、氏の愛弟子への愛情がうかがわれる。

シンプルだが日本の四季を楽しむ小鉢の数々

寿司がメインの『すし家 祥太』では、小鉢類はシンプルなものが2品、コース初めに供される。長年の付き合いのある業者から、祥太さんの目利きで仕入れるクオリティ抜群の素材を使った料理は、自家製のするめいかの塩辛など小粒だが、気のきいたものがそろう。

まずは「もずく酢」(写真上)からスタート。ほどよく甘酸っぱい一品は、胃を優しく刺激してくれる。

2品目は、冬が旬のあん肝を醤油、みりん、酒で煮付けたもの(写真上)。トロッと脂ののった北海道産の良質なあん肝は、脂の溶け具合が品良い。みりんのほのかな甘みがあん肝のうまみを引き立てている。

すべての寿司の基準はシャリにあり

そして、いよいよ寿司の登場だ。シャリは、コースの20分前に炊き上がるようにしている。温かいシャリのため、時間と共に酢がどんどん飛んでしまうため、コースごとに炊き、使いまわしはしない。

『すし家 祥太』では、このシャリがすべての基準となっているという。「寿司の中でもシャリは6割を占めます。お客様の口の中でシャリとネタが一体になったとき、バランスがちょうどいい塩梅になるように計算しています」(祥太さん)。

シャリに使う赤酢は、全体のバランスを考えて、香りもうまみも抑え目な熟成1~3年の若いものを使用。魚も、このシャリに合わせて仕込みがされる。季節や漁場によっても味わいが異なるという魚の状態を見極めるのは、長年培った技術と勘だ。シャリとネタ、ワサビ、醤油すべてが理想のバランスになるように、日々ひたすら握ってきた経験から、均整のとれた寿司が生まれていく。

丁寧で繊細な仕事が光る本格的な江戸前寿司

祥太さんの握りの所作はリズミカルで、握る寿司に似て端正だ。

こちらは愛知県産のコハダ(写真上)。コハダの仕込みで大切にしているのは、塩のきかせ方。仕込んでから3日目のコハダは、酢の角がとれ、塩と馴染んだまろやかさが魅力だ。

寿司の華ともいうべきマグロ(写真上)は、まずは赤身から。こちらの赤身は、ヅケで供する時もあるが、本日はサッと醤油をひと塗り。醤油もブレンドして塩加減を調整。極上のバランスで一体となっており、キメの細かい赤身のうまさを堪能できる。

赤身と脂の色合いも美しい中トロ(写真上)。温かいシャリがマグロの脂の溶け具合と絶妙にあっており、とろけるようだ。

マグロの産地は、時期によって異なるが、できるだけ国産のものを仕入れるようにしているという。京都府伊根産や八丈島のものなど。とくに八丈島と三宅島の間のエリアで獲れるマグロは、餌にキンメ鯛を食べていておいしいのだとか。どんなマグロに出逢えるのか、楽しみだ。

こちらはアオリイカ(写真上)。本日は醤油を刷毛でひと塗りしているが、塩とスダチで供する時もあるという。

アオリイカは神奈川県産のもの。同店では、できるだけネタも東京近郊のものを使って行きたいと考えている。江戸前寿司としてのこだわりはもちろんだが、遠隔地で獲れる魚は、生きたまま市場に届けられても、どうしてもストレスがかかり、味が落ちるのだとか。産地よりも“おいしいネタ”を大事にする『すし家 祥太』ならではのこだわりだ。

ふっくらとした身が食欲をそそる赤貝(写真上)。赤貝は、香りが飛ばないように、コースが始まる10分前に殻から外す。また、握る直前にパンとたたくことで、身が締まり、歯応えがもどってくるのだとか。ひとつひとつ、繊細で丁寧な仕事を欠かさない。寿司好きが何度も足を運びたくなるのも納得だ。

マニアックな日本酒もあり!寿司を楽しむ酒の数々

寿司は、酒を飲みながら楽しめるように、シャリに砂糖は使わず酢と塩のみで作っている。このため、日本酒でも寿司のために作られた『日高見』などが用意されている。そのほか、日本酒マニアなら知らない人はいないと言われる、農口尚彦研究所の醸造酒などツウ好みの酒も見逃せない。

またワインも赤、白、シャンパンと一通り用意。和食に強いソムリエと協力して、祥太さん自身もワインを試飲し、寿司にあったものを仕入れているのだとか。ワインと寿司のマリアージュをぜひ楽しんでみたい。

漫画家、寺沢大介先生も絶賛する寿司を堪能しよう!

「寿司といえば、敷居が高いイメージがありますが、誰でも気軽に食べにきてもらいたいですね」(祥太さん)。

師匠である金坂氏のみならず、あこがれの「将太の寿司」の原作者、寺沢大介先生も縁あって寿司を食べて以来、祥太さんを応援している。寿司に対する真摯な熱意が『すし家 祥太』の最大の魅力。余分なものをそぎ落とした、実質重視の本格的な寿司をぜひ楽しんでみたい。

【メニュー】
おまかせコース 13,000円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です

撮影:岡崎慶嗣

すし家 祥太

住所
東京都港区麻布十番3-3-10 1F
電話番号
050-5493-2723
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
夜の部 17:30~22:30
(17:30と20:00スタートの2部制) ※新型コロナウィルス感染拡大防止に伴う時短営業要請期間中におきましては、21時までの営業となります。詳細は店舗へお問い合わせください。
昼の部 12:00~14:00
定休日
月曜日
第1日曜日、第3日曜日
ぐるなび
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※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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