「熟成した日本酒」の深い魅力にハマる! 古酒専門の日本酒バー『酒茶論』が、銀座にて待望の再オープン

日本酒を熟成させた「古酒(こしゅ)」専門のバーが楽しい!
「古酒とは?」「どうやって楽しめばいいの?」「バーってちょっと入りづらい…」そんな人にこそおすすめしたいのが、銀座『酒茶論(しゅさろん)』。レアな古酒が飲めるのはもちろん、古酒を使った料理も絶品! 古酒初心者もおひとり様も2軒目利用も大歓迎。新しい出逢いが満載の一軒です。

2020年06月29日
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「熟成した日本酒」の深い魅力にハマる! 古酒専門の日本酒バー『酒茶論』が、銀座にて待望の再オープン
Summary
1.隠れ家感満載! 銀座に移転オープンした「長期熟成日本酒BAR」とは?
2.マスターは、一流ホテルで10年の研鑽を積んだベテラン! 日本酒の多面的な魅力を伝え続けるストーリーテラー
3.古酒は、カレーやスイーツにも合う! 驚きのマリアージュを実食レポート

自他共に認める日本酒好きのフリーアナウンサー「あおい有紀」が“和酒”の魅力を発信!

いまや空前の和酒ブーム! 日本酒や焼酎、日本ワインなどの“和酒”が楽しめるお店が急増している。けれども本当においしい魅力的なお店は? そのお店のお酒や料理はどう楽しめばいいの?

利き酒師、焼酎利き酒師、一級フードアナリストなどの資格をもち、大のお酒好きとして各メディアで活躍中のフリーアナウンサー、あおい有紀さんが自分の足で探し歩いた「とっておきのお店」を紹介。選りすぐりのお酒と料理を実際に味わいながらじっくりとその魅力に迫ります!

東京でも珍しい「長期熟成日本酒BAR」で、「古酒」の魅力にハマる

今回ご紹介する店は、日本酒好きの私でもまだまだ未知の領域、「長期熟成酒(古酒)」の専門店『酒茶論(しゅさろん)』。

以前は品川に店舗があり、当時から伺っていたのですが、このたび銀座に移転されることを聞いて楽しみにしていたのです!

外堀通りに面した、クラシックな雰囲気のビルの地下へ。秘密めいた雰囲気の扉を開けると……?

シックな雰囲気のカウンターが! 元はワインバーだったという空間にずらりと並ぶのは、日本酒ツウの方にとってもあまり見慣れないラベルのお酒ばかり。

こちらのお酒はすべて日本酒、中でも長期間熟成させた「長期熟成酒(古酒)」なのです!

「古酒ってどんなお酒?」

「聞いたことはあるけれど、『古酒』ってどんなお酒?」という方も多いと思います。

古酒の普及と技術向上を目的に設立された団体「長期熟成酒研究会」によると、「満3年以上酒蔵で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」と定義されています。さらに古酒の中でも、温度や湿度などを管理し、独自のルールで長期間熟成させたものを「熟成酒」「長期熟成酒」と呼んでいます。

じっくりと熟成させた日本酒は、色や香り、味わいが複雑に変化。中にはシェリーやブランデーを思わせるような濃厚なタイプも多く、初めて飲む方はきっと驚かれるはず!

ただし現在、古酒には酒税法上の厳密な規定はありません。日本国内でも日本酒を熟成管理している酒造会社は限られているため、流通量も少なく、日本人の多くが古酒を知らない、飲んだことがないというのが現状ではないでしょうか。

「長期熟成酒(古酒)」の魅力を知り尽くすマスターの店

こちらのお店を営むのはダンディな雰囲気の店主、上野伸弘さん(写真上)。

上野さんは一流ホテル『ホテルニューオータニ東京』で10年間勤務され、同ホテル内の名フレンチ『トゥールダルジャン 東京』のBAR責任者をはじめ、東京サミットの際には世界各国の首脳のサービスも担当された、接客のベテラン中のベテランです。

上野さんが日本酒について探求し始めたキッカケは、海外のゲストにお酒をサーブするときに抱いていた「なぜ、海外から来られたお客様を、日本の酒でもてなさないのか?」という疑問から。

そして、『ホテルニューオータニ東京』を辞したあと、コーディネーターとして日本中の酒蔵190軒を回る中で、古酒の魅力にとりつかれます。

「フレッシュ&フルーティな日本酒のよさだけでなく、熟成させたことで厚みや奥行きが生まれる古酒には、さまざまな価値や可能性がある」と実感した上野さん。蔵元20軒に呼びかけて、2002年、品川駅前で長期熟成酒バー『酒茶論』をオープンされました。

品川から銀座へ移転。ファン待望の再オープン

2018年に一度クローズしたあと、銀座に待望の再オープンを果たしたのが2019年12月。ご経歴からも伺える通り、日本酒業界では知らない人はいない重鎮の一人です。

棚には上野さん秘蔵の長期熟成酒がずらり。ボトル一本一本の重厚なたたずまいも圧巻ですが、その数なんと100種類以上! 『酒茶論』には、1975年以降のすべての年代の長期熟成酒をとり揃えられているそう。

さて、今回もおすすめのお料理とともにペアリングを楽しみましょう!
『酒茶論』の主役は長期熟成酒。そのためお料理も、すべて長期熟成酒のうまみや香りを引き立てるように計算されたものばかりなんです。

和牛の赤ワイン煮込みならぬ「古酒煮込み」の深いうまみに驚き!

一品目のお料理は「牛ホホ肉古酒煮込み」(写真上)。

牛ホホ肉に醤油、みりん、数種類をブレンドした古酒を加えてやわらかくなるまでじっくりと煮込み、蒸しパンとパプリカのマリネを添えた一品。とろけるようにやわらかな牛肉に、古酒の濃厚なうまみがじんわりと溶け込んでいます。

合わせたお酒は京都『増田德兵衞商店』の「月の桂 十年貯蔵純米大吟醸古酒 特別酒 琥珀光」(写真上)。純米大吟醸酒を甕(かめ)の中で熟成させた“大吟醸古酒”です。

実は以前、『月の桂』の酒蔵に伺った際に、貯蔵されている光景を見て驚きました。磁器の甕に入れられたお酒がずらっと並んで大切に保管され、熟成の時を経ていたのです。「いつかこのお酒を頂ける日がくるのだろうか……」と思っていたので、ここで出逢えて感激! どんなお味なのでしょうか?

まずは香りから。これはドライフルーツ……干したあんずのような、ちょっと枯れて凝縮された香り。

ひと口味わうと、口あたりはなめらかですね。深みのある甘みと酸味が交互に押し寄せてくるような、複雑な味わいと余韻の長さにうっとり……。

牛ホホ煮込みは、野菜と一緒に蒸しパンに挟んでいただきましょう。そしてお酒をもうひと口。

……わあ! 脂が程よく入った牛ほほ肉のまろやかなうまみと、パプリカの香りや酸味が、お酒と合わせることでさらに広がりますね! 隠し味の青唐辛子のアクセントが心地よく、味わいの輪郭をひきしめてくれるようです。

古酒初心者にもオススメなのが、「カレー×古酒」の組み合わせ!

二品目は「古酒に合わせたブラックカレー」(写真上)。

漆黒のカレーソースの中に浮かぶ淡いオレンジ色のコントラストが印象的なカレー。ホテルの洋風カレーのように美しい盛り付けです。

カレーソースのつややかな黒い色はイカ墨。古酒との相性を考え、スパイスは加えすぎないように入念に味付けされているのだそう。

ライスに見えるのは、実はトマト風味に味付けした「スペルト小麦」。古代小麦とも呼ばれる「スペルト小麦」は香ばしい風味でほどよい歯ごたえ! 添えられたココナッツミルクを少し入れるとまろやかさが加わり、エキゾチックなおいしさに。

合わせたお酒は岐阜『白木恒助商店』の「達磨正宗 熟成三年」(写真上)。

『白木恒助商店』も、昭和40年代から長期熟成酒造りに力を入れているという、こだわりの蔵元です。香りはまるでべっこう飴のような、ほんのりカラメルのフレーバー。それでいてなめらかな甘みがしっかり感じられ、酸味とのバランスが絶妙! 古酒をあまり飲んだことがないという方にも飲みやすい味わいですね。

カレーとの相性はというと……、カレーのコク、スパイスの複雑な味わいが、古酒と合わせることで何倍にも広がります! 口の中は口福感でいっぱい。カレーと古酒、意外にも好相性です!

デザートにも古酒? チョコレート×古酒の相性の素晴らしさに感激

最後に出していただいた一品は「オランジェットチョコレート」(写真上)。

砂糖漬けのオレンジピールに、生チョコのようにやわらかな口あたりのチョコレートをコーティングし、仕上げにココアパウダーや粉糖をまぶしてあります。

ほろ苦いオレンジの皮の風味がお酒に合うため、おつまみとしても人気のスイーツですが、一般的にはワインやウイスキーなどと合わせるはず。日本酒、それも古酒と合うのでしょうか…?

合わせたお酒は千葉『木戸泉酒造』の「afs(アフス)オールドリザーブ」(写真上)。

自然農法産米による長期熟成酒造りに力を入れている蔵元で、この「アフス」は、1970年代の原酒をベースにブレンドされたユニークなお酒です。

顔を近づけると、柑橘やスパイスの香りが鼻をくすぐります。ひと口味わうと、ほどよい甘みとしっかりした酸味を感じますね!

さっそく、オランジェットチョコレートを合わせてみましょう。わぁ……お酒の味わいがオレンジピールの香りと苦み、甘み、そしてカカオの香りと苦みにピタッと寄り添い、ほどよいビター感が絶妙のコンビネーション! これは、食後の大人の楽しみとして最高の時間を演出してくれる組み合わせだなぁ……と思わずうっとりしてしまいます。

上野さんの丁寧なサービスと深い知識に、お客の誰もが虜に

「アフス」の味わいに酔いしれていると、「ちょっと待って、このお酒にこちらを加えてみましょう。ぜひ、飲み比べてみてください」と、上野さん。

取り出したのは、「オレンジビターズ」というリキュール。「アフス」を注いだ別のグラスに、こちらを一滴。

「オレンジの香りが増すでしょう? この銘柄は今、ほとんど売られていないんですが……」と、その場でアレンジを加え、楽しませてくれる上野さん。豊富な知識に裏打ちされた語り口には、身を乗り出し、どんどん引き込まれていきます。

これだから、上野さんのお店は何度来ても楽しい! 来るたびに、新しい発見に出逢えるんです。

全国の酒蔵で眠っていた、希少な長期熟成酒が100種類以上!

数十年の時を経てラベルがセピア色に変わった貴重なお酒や、海中で熟成させたという珍しい“海中熟成酒”も。なかには、上野さんがプロデュースしたお酒も並んでいます。

お話を伺い、長期熟成酒を味わいつつ、棚を眺めると、一本一本に込められたストーリーに思いを馳せてしまいます。

古酒になじみがない人でも大歓迎! 日本酒の新しい魅力をここで見つけてほしい

上野さんの、長期熟成酒に対する熱い想いと、こうしたお酒の価値を高め、魅力を伝える活動に触れるたびに、日本酒の可能性を大いに感じ、ワクワクします。

「どうすればお客さまに楽しんでいただけるか、ということをいちばん大事にしています。長期熟成酒が初めての方も大歓迎。お気軽にお越しください」と上野さん。

長期熟成酒は上級者向け、難しい、というイメージを持たれがちですが、『酒茶論』で上野さんと話をすれば、裏側のストーリーとともに一気にその世界が広がっていくはず。日本酒が好きな方だけでなく、ワインやブランデー、コニャックなどの洋酒がお好きな方や、海外のゲストにもぜひお越しいただきたいお店ですね。


【メニュー】
<料理>
スモーク盛り合わせ(2人前)1,800円
野菜のマリネ(古味醂ソース) 900円
鮭の古酒びたし 900円
牛ホホ肉古酒煮込み 1,800円
古酒に合わせたカレー 1,200円
オランジェットチョコレート 800円

<ドリンク>
グランドキリンIPA 1,000円
日本酒 800円~
達磨正宗3年 800円
枯山水 純米10年 出羽桜 1,000円
古原酒 1996年 神杉 1,200円 
ほか
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。

編集協力:糸田麻里子(フードライター・エディター)
撮影:佐々木雅久

長期熟成日本酒BAR 酒茶論(しゅさろん)

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビルB103
電話番号
03-6263-9710
営業時間
(月~金)18:00~24:00、(土)15:00~21:00
定休日
日曜・祝日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/7nfkec6v0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。