ふわっふわの肉団子は必食のおいしさ!祖師ヶ谷大蔵のハイレベル町中華『胡同三㐂(サンキ)』の溢れる魅力

小田急線・祖師ヶ谷大蔵駅すぐの中華料理店『胡同三㐂(フートンサンキ)』をご紹介。中華料理の名店『JASMINE』出身の大城シェフが作るのは、優しい味わいの中華料理。ファミリー層の多い祖師ヶ谷大蔵の客層に合わせ、肉団子や餃子などの家庭的な料理がベースだが、その中に大城シェフならではのアレンジがきらりと光る。アットホームな雰囲気なので、お一人様でも家族連れでも、寛ぎながら美味を楽しめること間違いなし。

2020年06月23日
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ふわっふわの肉団子は必食のおいしさ!祖師ヶ谷大蔵のハイレベル町中華『胡同三㐂(サンキ)』の溢れる魅力
Summary
1.中華料理『JASMINE』出身シェフが、祖師ヶ谷大蔵に『胡同三㐂(フートンサンキ)』をオープン
2.「日本中華料理協会」の初代会長である祖父、「現代の名工」受賞の父を持つ華麗な家系の3代目
3.入手困難な紹興酒や自家製高麗人参酒など、アルコールも豊富
(※取材は2020年3月に実施したものです)

ウルトラマン発祥の地・祖師ヶ谷大蔵に、期待の新店を発見!

小田急線・祖師ヶ谷大蔵駅に「円谷(つぶらや)プロダクション」があったことから名づけられた「ウルトラマン商店街」。その路地裏には、昭和30年代から続くレトロな飲食街「まるよし横丁」がある。

独特な雰囲気を持つその横丁の入口に2019年5月17日、中国料理店『胡同三㐂(フートンサンキ)』がオープンした。

ヴィンテージ感のある外観は、通りのレトロな雰囲気にしっくり溶け込んでいる。

1階のホール(写真上・左)奥がキッチンで、手前には4人掛けの個室、2階には10人ほどが座れる大テーブルの個室(同・右)がある。

中国料理界のレジェンドの3代目が、満を持して開業

厨房に立つのは、29歳の若きオーナーシェフ・大城昌宏さん(写真上)。

大城さんの祖父の大城宏喜さんは「日本中国料理協会」の初代会長(現・終身名誉会長)という日本の中国料理界の重鎮。父の大城康雄さんもまた、「ロイヤルパークホテル」内にある『中国料理 桂花苑』の総料理長で、「現代の名工」にも選ばれた中国料理界のレジェンドだ。

大城さんが中国料理の道に進むことを決めたのは、祖父が中国料理人として初めて、旭日小綬章を叙勲したのがきっかけだった。

「僕にとってはやさしくて大好きな“おじいちゃん”が、実はすごい人だったと初めて気づいたんです(笑)。祖父には僕を含めて9人の孫がいるのですが、料理人は一人もいません。僕の代で途絶えてしまうのはあまりにもったいない、ならば僕が継ごうと思ったんです」(大城さん)

東京農業大学短期大学部で栄養学を学んだ後、名門ホテル「グランドハイアット東京」の『チャイナルーム』で修業をスタート。祖父や父を知る人から特別視されることも多かっただろう。だが「それは付いて来るものだから覚悟していましたし、僕は僕だから…」と淡々と明るく語る。

修業のスタートはオーソドックスな本格中華だったが、『チャイナルーム』出身の山口祐介シェフが、『中華香彩 JASMINE(ジャスミン)』(広尾)をオープンすることになり、その手伝いに駆り出されたことが転機になる。山口シェフの革新的なモダン中華の味に魅せられた大城さんは、『JASMINE』に入社。手伝いの期間を含め約8年間にわたって山口シェフの薫陶を受け、全4店舗で腕を振るった。

しかし大城さんの中では次第に、「自分自身の料理を作りたい」「祖父や父が持つことが無かった『大城家の店』を持ちたい」という夢が膨らんでいく。

「高級店ではなく、近所の人が気軽に食べに来られるアットホームな店」をイメージしていた時、現在の物件に出逢った。思い描いていたイメージにぴったりで、場所は通っていた大学や親戚の家に近く、以前から馴染みがあったエリア。「全部のタイミングがぴったり合った」と感じ、独立を決める。

定番メニューには、大城家の歴史と家族愛が詰まっている!

これまで働いてきた店があった都心と違い、祖師ヶ谷大蔵はファミリー層の多い住宅街。そこで定番メニューは餃子や酢豚など、わかりやすい料理を中心に構成している。しかし、そうした“ど定番”といえる料理の中にこそ、大城さんならではのオリジナリティが隠されている。

その代表ともいえるのが、1個250gというビッグサイズの「おじいちゃんの肉団子」(写真上)。

祖父が『ホテル海洋(現在は閉店)』で出していた獅子頭(シーズートウ)がベースだが、祖母の得意料理の肉団子をヒントに、つぶした木綿豆腐を肉ダネに混ぜて、驚くほどやわらかい食感に仕上げている。肉ダネを一度揚げてから弱火で約2時間煮込み、味をしみ込ませるのは、大城さんが修業した『JASMINE』で教わったやり方。まさに大城さんの料理のDNAの結晶のような一皿だ。

そしてそれにプラスされているのが、「獅子頭は大きいので、固いと食べ疲れると思い、究極のやわらかさを追求しました」という大城さんのやさしさ。

その言葉通り、箸の重みだけでスッと切れて、口に入れた瞬間にほどけて肉のうまみが広がる。まるで液体のようにするすると喉を通る感覚はまさに「飲める肉団子」。タレは一見、味が濃いように見えるが、意外にもスプーンでそのまま飲み干したくなるやさしい味わいだ。

「大城さん家の焼き餃子」(写真上)は、子どもの頃、休日に父親がよく作ってくれた大好物のメニューをブラッシュアップしたもの。

「肉と野菜のバランスを研究して、キャベツと肉が5:1という割合に落ち着きました」(大城さん)

多めの油でカリッと揚げ焼きにした皮に、“プロの焼き技”が光る。一方、餡は野菜の甘みを最大に引き出していて、どこまでもなめらか。家庭の手作り餃子に通じるあっさりしたおいしさがある。プロの技と家庭の味が融合した、まさに“大城さん家”の餃子だ。

そのままでもおいしいが、ぜひ試してほしいのが、『JASMINE』総料理長直伝の「よだれ鶏」のタレをつける食べ方。

深みのある複雑な辛みのタレで、シンプルでやさしい味わいが一変する。またホール担当の奥様のオススメは、花椒(ホアジャオ)を入れた米酢。そちらもおいしそうだ。

大城さんの感性が光る、「本日のおすすめ」も要注目

定番メニューとは別に、日替わりの「本日のおすすめ」メニューもある。大城さんがチャレンジしてみたい料理や、その時手に入る旬の食材で作る料理なので、中にはその日にしか味わえない“一期一会”の料理もある。

「翡翠(ひすい)揚げと春野菜の干し肉炒め」(写真上)は、「祖父が作っているのを見て作りたいと思った料理」(大城さん)。

細かく挽いた鶏肉にきめ細かく泡立てた卵白と、細かく切ったホウレンソウ、明日葉の粉末を混ぜ込んで揚げた緑色の肉団子「翡翠揚げ」は、まるでムースのようにエアリーな食感。口の中であっという間に溶け、後に鶏の上品なうまみだけが残る。翡翠揚げのフワフワ感と、素揚げした春野菜のシャキシャキ食感の対比も楽しい。

味付けは鶏ガラと塩のシンプルなスープに、ほんの少しとろみをつけてまとわせているだけ。そのシンプルでやさしい味わいに、「干し肉」の八角や桂皮などいかにも中国料理らしい香りと奥行きのあるうまみ、強めの塩味が加わると、見事に調和のとれた味になる。

「紅焼肉(ホンシャオロー)」(写真上)は、大城さんの祖父の出身地である上海の料理。いわゆる「豚の角煮」だが、皮付きのバラ肉(三枚肉)を使い、中国醤油、醤油、砂糖、紹興酒などで4時間くらい煮込んでいる。

最後に軽く炒めているため、こってり甘辛の濃い味付けだが、不思議にしつこさを感じない。煮崩れる寸前でかろうじて形を保っている豚肉もうまいが、クタクタになるまで煮込んで豚のうまみを吸い込んだ干し筍が、豚肉に劣らずご馳走だ。

紹興酒の品ぞろえも自慢! マニアも垂涎の“お宝紹興酒”も

ドリンクでぜひ味わってほしいのが、約20種類ほどのマニアックな品揃えが評判の紹興酒。

「紹興酒飲みくらべ」(写真上)では、その日のオススメの紹興酒3種類を飲み比べできる。めったに出逢えない、お宝級の紹興酒をいただけるチャンスだ。

「菊池レモンサワー」(写真上)は、大城さんの母方の祖父母が住んでいる八丈島(東京都)特産の菊池レモンを凍らせて、氷代わりにぎゅうぎゅうに詰めた贅沢なレモンサワー。

菊池レモンは無農薬なので、飲み終わった後に半解凍状態のレモンを食べることもできる。酸味の少ない、やわらかい味の食べておいしいレモンだ。そのほかに、やはり八丈島特産の明日葉を使った「明日葉ハイ」も。

「八丈島は大好きで、祖父母の家は毎年行きたいくらいです」と目を輝かせて八丈島の魅力を語る時、大城さんの顔が一瞬、料理人から“孫”の顔になった。会話のはしばしから、家族や親戚の仲の良さ、絆の強さが感じられる。

「僕の料理は、味がやさしいとよく言われます」と大城さんは語るが、それは家族に愛され、家族を愛する彼の人柄が料理ににじみ出ているのかもしれない。

メニュー表には出していない裏メニューだが、希望すれば自家製「高麗人参酒」(写真上)も飲むことができる。大城さんの祖父が30年以上前に漬け込み、飲んだ分を注ぎ足している、ここでしか飲めない酒だ。ウォッカベースなのでかなり強いが、淡い香りを楽しみながら少量ずつ味わうと、体がポカポカしてくる。

「誰にでも喜んでもらえるわかりやすい中国料理で、ビブグルマンを目指したい」

「僕が作りたいのは、誰もが食べてホッとするような、そしてまた食べたくなるような料理。ミシュランよりも、ビブグルマンに選ばれるのが夢です(笑)」(大城さん)

店名の「胡同」は古典中国で「路地」を指す言葉で、横丁というロケーションにちなんで命名。「三㐂」の「㐂」という字は、三つの幸せが重なり良い事が訪れるという意味だ。大城さんの夢がかない、3世代が喜びに包まれる日は、そう遠くないだろう。

【メニュー】
おじいちゃんの肉団子 1,630円
大城さん家の焼き餃子(5個)650円
翡翠揚げと春野菜の干肉炒め 1,780円
紅焼肉(ホンシャオロー) 1,890円

紹興酒(ショットグラス) 800円~
紹興酒飲みくらべ 1,200円~
高麗人参酒 800円
菊池レモンサワー 780円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです
※本記事の取材・撮影は2020年3月に実施いたしました

撮影:岡本寿

中国料理 hutong sanki 祖師ヶ谷大蔵店

住所
東京都世田谷区祖師谷1-8-17
電話番号
050-3490-8298
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
火~日・祝前日・祝日
18:00~23:00
(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
ランチ 11:30~14:30
(L.O.14:00、ドリンクL.O.14:00)
定休日
月曜日
ぐるなび
http://r.gnavi.co.jp/bb4w6mau0000/
公式サイト
https://hutongsanki.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。