世界トップシェフが監修した銀座の隠れ家レストラン『季苑 KION』
2021年4月5日、銀座8丁目のビル地下2階に、隠れ家的レストラン『季苑 KION』がオープンした。
扉を開けた瞬間、まず目を奪われるのは、川の流れのように緩やかにうねりながら奥へと続くカウンター。席はカウンター8席のみだが、席間にはゆとりがあり、背面には十二分なスペースがあるため、開放感に身をゆだねながら食事を楽しめる。
料理は、滋味あふれる日本の食材と世界の調味料との組み合わせを楽しめるコースを用意。ニューヨーク『ジャン・ジョルジュ・ヴォンガキッチン』やロンドン『アルベール・ルー』などの有名店で研鑽を積んだ後、キャロライン・ケネディ元駐日米国大使からのご指名で、駐日米国大使館でエグゼクティブ・シェフを務めていたマリベス・ボラーさんがオープニングのメニューを監修していることから、海外からの注目も集まっている。
マリベスさん監修の限定メニューは、「3段重ねのお重」の上・中・下段に盛りつけられた季節の料理3品と、お重に添えられるおつまみ小鉢、デザートがセットになったコース。料理に寄り添った日本酒のペアリングもセットになったお得な内容だ。日本酒は、ソムリエが各地の蔵を訪ねて心に響いたものを厳選しているので、どの料理もお酒との相性のよさに唸らされること必至だ。
先つけはイチオシのスパークリング日本酒とともに用意
取材日の先つけは、「きたあかりの手づくりポテチと海苔サワークリームのディップ」(写真上)。マリベスさんは、日本の食材や日本料理、器への造詣を深めるべく、各地の生産者のもとへ足を運ぶのが好きだというが、そのなかで出逢った日本ならではの食材に洋のエッセンスを加えているのがユニークなところ。
磯の香りいっぱいの新鮮な海苔をサワークリームと合わせていることにまず驚かされるが、さらに手づくりのポテトチップスにディップしていただくと、未知の味に出逢えた喜びで心がいっぱいになる。
しかも、日本酒「真澄 スパークリング」の軽やかさとも相性抜群。マリベスさん自身、日本酒の中でもスパークリングが好きで、蔵を見学させてもらう際には必ず味を確かめるというが、さまざまな蔵を巡った中でも「真澄」のものがお気に入りだという。
まあるい形の「お重」を使ったコースは目にも楽しい
先つけに続いて登場するのは、「3段重ねのお重」(写真上)。「お重」というと正方形を思い浮かべる人が多いだろうが、同店で供されるお重はなんともやさしい見た目のまんまるお重。佐賀県・有田焼の窯元「李荘窯(りそうがま)」を訪ねた際、マリベスさんがひとめぼれしたという焼物だ。
一番上の「はじめのお重」を確認すると、中から現れたのは「カリフォルニアEXVオリーブオイルと鰹風味のパンナコッタ パルメザンチーズと鰹節のクラッカー」(写真上)。鰹の豊かな風味が感じられるパンナコッタは、カリフォルニアEXVオリーブオイルがたっぷりと使われているためツルンとなめらか。パルメザンチーズと鰹節で作られたサクッと軽快なクラッカーとともに口に運ぶと、異なる食感を同時に楽しめるのも愉快だ。
合わせたお酒は、「七本鎗 無有 生もと木桶 生原酒」。鰹やチーズのアミノ酸系のうまみに負けないしっかりとコクのある日本酒だ。
色とりどりの有機野菜は酸がきいたお酒と合わせるとウマい!
2段目の「なかのお重」は、彩り豊かな「季節のいろどり有機野菜のサラダと大豆とかぼちゃのフムス」(写真上)。だし醤油、バルサミコ、オリーブオイルで作られた特製ビネグレットによって、野菜の力強さがぐっと引き立てられたサラダだ。
一緒に供される「海苔とチーズのスティックパイ」は、フムスをつけながら食べてもよし。サラダの上に散らしていただいてもよし。いろんな食べ方を楽しめるのがオツ。さらに、「いちごとビーツのマリネ カマンベール」まで添えられて、テーブルがにわかに華やかに。
愛らしいこのお重とマリアージュさせたお酒は、名前の可愛らしさも印象的な「岩清水 NIWARINGO」。麹の割合は2割に調整して、リンゴ酸を生み出す酵母を使って造った日本酒で、野菜やバルサミコの軽快な酸味と抜群の相性だ。
ソースにもトッピングにもピュレにも洋のエッセンス
3番目となる「おわりのお重」は、「本日のお魚のソテー 玄米おにぎり 季節野菜のソテー」(写真上)が並んだ滋味深い一皿。本日のお魚のタラにはハーブのソース、野菜のソテーには金柑とレモンのトッピングと、お重を開けた瞬間から目でも楽しめる繊細さを感じるが、食べ進めるとさらに、皿の底にイチゴとルバーブのピュレが敷かれていることにも驚かされる。
合わせたお酒は「早瀬浦 大吟醸 本生原酒」。濃厚な旨口ゆえ、ともに供される「広島菜」を少しずつつまみながらゆっくりと飲み進めるのもいいだろう。
お重を楽しんだ後には、季節の果物や焼き菓子が登場。取材日は、柚子とだいだいの自然交配種とされる「柚香(ゆこう)」を楽しませていただいたが、なかなかお目にかかれない一品に出逢えるのも、日本の食材にこだわった『季苑 KION』ならでは。世界の調味料や日本各地のおいしいお酒とのマリアージュにも酔いしれられるのだから、今まで以上に食への関心が高まるはず。
低濃度オゾン発生器完備で居心地抜群。感染症対策に注力
なお、店内および洗面所の計7か所に低濃度オゾン発生器「TS100」を設置。濃度0.15~0.20ppmのオゾンが噴霧されていることから感染症対策に力を入れており、本当に川辺にいるかのような爽やかなイオンバランスを体感できるのもうれしい。
また、今回紹介するメニューは5月末までの期間限定だが、今後も日本各地の蔵元や生産者、フードクリエイターとのコラボレーションやイベントを随時開催予定。一人でもパートナーとの会食にもピッタリな一軒なので、一度は訪れてみてほしい。
【メニュー】
・お酒のペアリングコース 7,700円
季節のお料理3品(3段重ねのお重)+小さなおつまみ小鉢+お酒のペアリング
・テーブルチャージ 1,100円
季苑 KION
- 電話番号
- 03-6263-8180
- 営業時間
- 17:30~21:00
- 定休日
- 日曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。