【予約は一日一組のみ】猪鍋のおいしさ悶絶級! 目白の一軒家で味わうジビエ料理が絶品すぎる

2016年12月04日
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【予約は一日一組のみ】猪鍋のおいしさ悶絶級! 目白の一軒家で味わうジビエ料理が絶品すぎる
Summary
1.閑静な住宅街に突如現れた、現役ハンターが営むジビエ料理店
2.予約は6名〜13名、平日1日1組の体験型ジビエコース料理が魅力
3.ジビエ界の未来を築くハンターの試み

目白駅から徒歩3分ほど歩いた閑静な住宅街にジビエ料理『アンザイ』はある。佇まいは、まさに住宅。ここが本当にお店? と疑ってしまうほどの、ごく普通の一軒家だ。

メニューはジビエ中心のコース料理のみ。予約は6名〜13名しか受け付けておらず、平日は1日1組しか入れないプライベートなジビエ料理専門店である。どんなジビエ料理が出てくるのか、ジビエ料理『アンザイ』を体験してみることにした。

現役ハンターが仕留めた、新鮮な猪や鹿を存分に味わえる!

店主の安西康人さんは現役のハンター。地元・静岡県浜松市で父親と猟をし、そこで捕獲した鹿や猪を浜松の自宅にある食肉処理場で捌き、店で提供している。浜名湖周辺のイノシシは名産の三ケ日みかんを食べるものも多く、肉付きが良くおいしいそうだ。運が良ければ、市場に出回らない内臓系の希少部位もいただくことができる。

今回は、猪鍋と二品がついたランチのコース料理をいただくことにした。猪鍋以外の二品は、その日によってメニューが変わるが、食べるまで何の肉か、どこの部位かなど一切教えてくれない。「まずは、先入観を持たずにジビエ本来の味、香り、食感を体験してほしい」と話す安西さん。

一品目は、3種類の猪の部位が焼肉で用意された。

タレは、ニンニク醤油、山葵醬油、生姜醤油の3つ。自分の好きな味を選んでいただくスタイルだ。

まずは、猪の肩ロース、猪のトントロと呼ばれる首の付け根の部分を焼く。プレートに肉を置くとこれでもかというくらい、サラサラとした脂が溢れ出てくる。焼きたての肩ロースを生姜醤油につけていただくと、香ばしい肉と生姜の香りがハーモニーを奏で、至福の味わい。

きちんと処理をされた猪肉はジビエ独特の獣臭さが少なく、焼肉でいただくことで食感、香りを存分に味わうことができる。高級感のある豚肉、といった食感だった。

厚目に切られたトントロは、モチっとしながらもコリコリとした筋肉質な食感。口に含むと甘い脂身が一気に口に広がるが、脂はさっぱりとしていて、口全体に滑らかに残る。この脂身の感じは、猪でしか味わえない。

また、トントロの油でこの期間が旬のマコモダケをソテーしてもらう。タケノコとアスパラガスの中間のような食感がおいしい。

最後の部位は、猪の肺。滅多に食べることのできない希少な部位だ。

しっかりと中まで火を通したら、ニンニク醤油につけていただく。噛めば、ふわふわと空気が抜けるような不思議な食感とハツを思わせるコリコリとした歯触り。

「次は、お客様にも一緒に作ってもらいます!青いビニール手袋をつけてください」と安西さん。テーブルに出てきたのは、色鮮やかなミンチ肉。この肉は猪肉を半解凍し、ミキサーでミンチ状にしたものだそうだ。

これを指示通り、もちっとする感覚になるまで5分ほどこねる。

安西さんのチェックが完了したら、小分けにして、たこ焼き器で焼くのだ。なんとも面白い光景。

表面に焼き色をつけたら、ハサミで切り、割った両面からさらにしっかり火を通すと完成。猪肉をミートボールとして焼きながら食べられるとは面白い。

このミートボール、粗挽きのハンバーグのような食感を想像していたが、以外にもナゲットのようなキメの細やかさと弾力がある。塩と胡椒のシンプルな味付けが、猪本来の爽やかな肉の香りを引き立ててくれる。実は、ワイン好きの常連さんたちのために考えたメニューなんだとか。贅沢な一品だが、赤ワインとの相性は間違いない!

最後にメインの猪鍋。蓋を開けると、あふれんばかりの厚切りの猪肉が現れる。「まず、何もつけないで猪肉を一枚食べてください」と安西さん。醤油ベースの薄味の味付けだが、猪肉の脂身の甘さ、程よい噛み応えの後に来るうまみを十分に感じられた。

猪肉の本来の味を確認したら、鍋の具材を底からかき混ぜて、肉を沈める。そうすると底からは、白菜、人参に数種類の旬のキノコが現れる。

人参は猪の形に切り抜いているこだわり。ユーモアたっぷりの店主の遊び心をうかがえる。「鍋全体を混ぜて、猪をゆっくり煮込むと柔らかさが増し、食感、味の変化が楽しめます。鍋のボリュームが多いので、味付けは飽きのこないように薄味で」と安西さん。薬味に七味、山椒、卵も用意されている。お好みですき焼き風に卵をつけて食べても、味の変化が楽しめていい。最後のシメには、きしめんを入れてくれる。猪を存分に味わえる贅沢な鍋だった。

安西さんは、狩猟をするために浜松と、店舗のある東京・目白を行き来しながらの生活を送っている。大学卒業後にサラリーマンとして働きながら「いつか事業を起こしたい」と30歳になった時に退社。その後に店舗運営を経た後に、実家に戻り、父親の所属する猟友会の高齢化や衰退を目の当たりにし、猪肉流通を広げたいと考え、猪料理の店舗開業を決めたそうだ。普通の一戸建て住宅を店舗としており、7畳ほどの和室が客席となっている。畳にローテーブルという内装は、まるで故郷に帰ったかのような懐かしい感覚になる。

コース料理を最高のコンディションで楽しんでもらいたいという思いから、平日の予約は1日1組しかとらない。また、鹿、猪肉は家畜の動物に比べて、処理、調理にコストと時間がかかるため、少人数での料理の提供はしておらず、予約は6名〜13名と決めているそうだ。

「狩猟をしている人は、リタイアされた方が大半なんです。サラリーマンをやりながらでは平日の狩猟はなかなかできない。また、田舎の人にとって猪の肉は誰かからもらえるものという感覚なので、お金にはなりません。つまり、狩猟自体は職業になりにくい」と狩猟の現状を語ってくれた安西さん。そのような危機感も感じながら、ハンターができることとして、猪肉に関するビジネスを展開している。猪肉のおろしをしたりや猪がE型肝炎にかかっていないかを調べる検査キットの販売をしたり、ジビエ料理の店主として以外にも活動しているそうだ。総合的に動き出すことで、猟友会の活性化や、新しい流通展開を行いたいと熱心に話してくれた。

イノシシは農家にとって、大事な農作物を食い荒らす害獣。行政の獣害被害の補助金では賄いきれないので、農家は自腹で柵を作るか、猟師に頼んで駆除してもらう状況であり、その点に目をつけた安西さんは農家と提供し、駆除をした猪も店で提供できる肉に処理している。

「いろんな方に、おいしくジビエの肉を食べてほしいです。実は家庭にある調味料や食材でジビエ料理は簡単にできることをもっと知ってほしい。肉の安全性を強化する仕組みをも生み出していきたいですね」と安西さん。今はまだトレンドとして注目されるジビエだが、いつか牛肉のようにスーパーに陳列される世の中に変わるかもしれない。そうなるかどうかは、安西さんの活動にかかっている。

メニュー
・ランチタイム(土日祝のみ・15時30分までに終了) 6名〜13名
サイドメニュー2品付き 7,000円 
・ディナータイム (平日19時以降、土日祝18時以降) 6名〜13名
サイドメニュー2品付き 8,000円〜 
※価格すべて税込

ジビエ料理 アンザイ

住所
〒161-0033 東京都新宿区下落合3-1-1
電話番号
090-3305-6595
営業時間
ランチ 12:00~15:30(LO.15:00) ディナー 19:00~22:00 (LO.21:30) ※営業時間は季節により変更あり 定休日 不定休
公式サイト
http://gibier-anzai.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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須永久美
ライター