生活の充実度は「近所にうまい店があるかどうかで決まる」ということについて

【店づきあいの倫理学】店は生きものであり「おいしさ」や「楽しさ」は数値化できない。だから顔の見えない他者からの情報「評価」を比較して店や食べるメニューを決めたりすることは無効だ。その店だけの「固有の身体感覚」のようなものがあり、その場その時の「代替不可能な店側/客側のコミュニケーション」が、その店の真価を決定づけている。「店と客の関係性」をもとに「よりおいしく食べるための店づきあい」の方法とは?

2017年06月19日
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生活の充実度は「近所にうまい店があるかどうかで決まる」ということについて
Summary
1.パリや京都といった観光地であっても日常遣いの飲食店は、本来は地元民のための店であるはず
2.例えば、長崎でも近所のちゃんぽん屋さんの「あたりはずれ」が、生活の充実度を大きく左右する
3.長崎でたまたま巡り会えた「うまいちゃんぽん屋」とは?

いつもいつも
「うどんとお好み焼きと鮨(たまに洋食も)は近所のがいちばんうまい」
などと書いているが、大阪に限るとお好み焼きが「コナもん」などと称されて(リンク→<「コナもん」と言う言葉遣いのなさけなさについて。>)、観光客必須のお約束アイテムとなり、たまたま行きつけの店が観光ガイドの常連掲載店になったことで、並ばないと入れなくなった店がある。

美空ひばりが京都に来るときは必ず行ってた、という京都の寺町三条の昭和一ケタ創業の旧い喫茶店も同様で、地元の商店街で漬物店をやっている友人は「あそこはもう20年ぐらい行ってへん、昔は毎週行ってたんやけどな」と残念そうに話していた。

京阪神でいえば、神戸・中華街の豚饅発祥の店もしかりで、前を通るたびに「食べたいなあ。けど並ぶんは、ちょっとなあ」と思ったりする。

パリや京都といった観光地であっても日常アイテムの飲食店は、本来は地元民のための店がほとんどなのは、大都市なので当然のことだ。
たまたま何かのきっかけで(有名人やメディアによるものが多い)、何時に行っても観光客が並ぶようになってしまうと足は遠のく。

もっとも観光地には当然「観光客のみをターゲットにした飲食店」もあるが、地元民が「土産物店」に入らないのと同様に、そういう趣旨の店については、地元の自分たちは「客ではない」のだから眼中にない。

わたしも旅行に行くと多分にもれず、大阪ならお好み焼きやたこ焼き、串カツといった「ご当地名物」を求めるが、観光客仕様の「土産物飲食店」には入ろうという気がしない。
やはり地元の人間に人気で、店内のその客が「おいしいなあ」という顔をしている店に行かないと気が済まないタチだ。

長く京阪神の店のことを他所の人に書いたり、そこの店のうまいものを伝えたりする仕事をしている関係上、旅行ガイドやグルメブックを見ていて、「これは観光客用の店を載せている」という
のが分かることがある。

まあ出版社にはその出版社なりの考え方があると思うのだが、そういうガイド本は、コンビニエンスストアのように役立つかも知れないが、面白くないから買わない。
また二泊三日などの短期旅行の場合、1回の昼ご飯がその旅行の良し悪しを左右することもある。

先日、長崎を旅行することがあった

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江戸懐石近茶流嗣家(きんさりゅうしか)/「柳原料理教室」副主宰