上から目線で店や料理を「評価してやろう」というスタンスの「自称グルメ」のショボい輩に告ぐ

【連載】正しい店とのつきあい方。 店や街とのつきあい方がわからない人が増えている。初めてなのに常連と同じように扱われないと怒る人や金さえ払えば何でもしてくれると思う人。お客様は神様、などではない。客としてのあり方を街と店に深い考察を持つ江弘毅氏が語る。

2017年08月04日
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上から目線で店や料理を「評価してやろう」というスタンスの「自称グルメ」のショボい輩に告ぐ
Summary
1.何カ月も先の決められたものを食べるのではなく、その日その時の「何を食べるか」が重要なこと
2.地図通りの街歩きでは、あらかじめ「ゴールを想定」したたものだからつまらないということの意味
3.カウンター割烹の醍醐味が楽しめる店、大阪・心斎橋のある店の場合

うまいものにありつくことは、その都度初めての経験だと思う。
店に行ったときのお腹の空き具合や口や舌が何を求めているのか、加えて気分という厄介なものに応じて、その日その時の「何を食べるか」がピタッとくること。

いろんな店をあっちこっちと食べ歩いた経験やそれで得た知識から学び得る部分がないわけではないが、ものを食べるということは毎回違った体験になるからこそ面白いのだ。

他者の評価を頼りに何カ月も前に予約して行くような店の退屈極まりないこと

何日か前(2カ月前というのも多い)の予約の際に食べるものをあれこれ決めてしまうことや、席に座って「おまかせで」のやりかたは、「その瞬間のおいしい変数群」の何もかもが少しずつずれると思うので、そういう店には行かなくなってしまった。

星の数や他人の評価を頼りに、それ目当てでやってくる観光客やグルメたちがその日の午後6時45分に店に集合し、一斉に同じものを順番に食べるスタイルのカウンター割烹が京都に多いが、一方的に板前のルーティーン的にやっているパフォーマンスを見せられているようで退屈極まりない。

というか、次は行きたくない。ライヴ・コンサートではないのだ。

季節やその日の食材によるメニューは変わっても、本来「今日はこんなん食べたい」という客と、「今日はこれが良いですよ」といった店とのコミュニケーションからメニューや調理や味付けが決まったりするのが「カウンター割烹」の醍醐味だと思うからだ。

だからうまいものについて書くライターが書くべきことは、その都度試みた結果を列挙することではない。
それはどこまで行っても「ネタ」にとどまっている。

自称グルメに多い「評価してやろう」という態度について

うまいものを食べることは、あらかじめ店や料理つまり「ネタにアクセスすること」ではない。その地図通りの街歩きは、あらかじめ「ゴールを想定」したうえでの街歩きだからつまらない。

「ゴール」という発想はこのところビジネス用語でよく使われているが、よりうまいものにありつこうという楽しみとは違う。
「予想通り」のうまいものは、「予想する主体」つまりあなたの「おいしい味覚」をあらかじめ措定しているから、それ以上のものにははらない。
未知、未経験の感覚領域を排された上でのことなので、いっつも「違うじゃないか」と怒ることになる。
自称グルメに多い「評価してやろう」というスタンスの人々は、そこのところがチョロいのだ。

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茶野真智子
ライター