「具の無い焼きそば」がウマすぎてびっくり!見て驚き、確かな味に納得するモダンチャイニーズ

2017年08月18日
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「具の無い焼きそば」がウマすぎてびっくり!見て驚き、確かな味に納得するモダンチャイニーズ
Summary
1.浅草にモダンチャイニーズをけん引する名店がある
2.日本産の食材にこだわり、素材を大切に調理する
3.中国料理の枠組みを超えた料理は、新鮮な驚きをもたらしてくれる

そのスタイリッシュな料理は、一見中国料理とは思えない。

つくばエクスプレスの浅草駅からほど近く。下町情緒あふれる街の一角に、オーセンティックな料理でグルマンたちの舌をうならせる中国料理店がある。『龍圓』は1993年に栖原一之シェフが創業したレストラン。その店構えから一見、街の中国料理店のように見えるが、供されるのは一般的な中国料理とは一線を画す料理ばかり。

栖原シェフは、幼少の頃に食べた中国料理に衝撃を受け早い時期から中国料理の料理人になることを夢見ていた。学校を卒業後、上海料理店で修業。独立して『龍圓』をオープンした当初は、オーソドックスな上海料理を提供していた。お店を運営するにつれて、ジャンルを越えた様々なシェフや生産者との出会いがあり、栖原シェフの料理に対する世界観は変化していったという。

10年以上も前から独自の料理を提案し続ける、栖原シェフ

現在、オーセンティックな中国料理がブームの兆しを見せているが、栖原シェフは10年以上も前から独自の料理を提案し続け、モダンチャイニーズの第一線を走り続けている。

「酢豚には、ケチャップを使うべきなのか。チンジャオロースはピーマンと水煮のタケノコを使うが、旬でない野菜を使って本当においしい料理ができるのか。自分にしかできない料理を作るにあたって、このように料理の要素をそぎ落としていき引き算の料理を始めました。料理一皿一皿に向き合って、必要のない部分を引いていく。そうすると、そぎ落としたところにプラスしていくべきものが見えてきたんです」と栖原シェフは話す。

また、シェフは素材をとても大切にする。仕入れている素材のほとんどは、自らが生産地に足を運び生産者と対話して納得のいくものだけを仕入れる。そして、食材は日本で作られたものにこだわる。「私たちがどんな料理を作っていても、日本人であることは変わりません。アウトプットが中国料理でも、ここ日本で日本人が作ったという痕跡を残したいと思い、メイド・イン・ジャパンにこだわっています」。

例えば、『龍圓』で使用する油は、国産の米油。「油について調べていくと、油の原材料のほとんどは輸入されているものだと知りました。国産の油はないのか、と色々探して見つけたのが米油です」。米油で揚げ物をすると違いは歴然で、そのサラッとした軽やかな味わいから、より素材の甘みがひきたつことを実感したという。

「『ボーソー油脂』という会社が国産の米ぬかで油を作っていることが分かったので、ここを工場見学させてもらって、米油の製造方法を勉強させてもらいました。大量の米ぬかから、ほんの少ししか油は抽出できないんです。そして、オートメーションで油ができるわけではなく、職人の技術がそこかしこに刻まれている。そのように自分の目で見て体験したことを、伝えたいと思っているんです」。

実際に、『龍圓』のコースの一部を紹介したい。

例えば、龍圓なら「ピータン豆腐」はこうなる。

まずは、10年以上前から提供し、定番料理として広く支持されているのが「ピータン豆腐」。大皿ではなくカクテルグラスで登場した料理は、一見するとピータン豆腐だとはとても分からない。こちらは、まず刻んだピータンを塩とネギ油で和えたものを盛り、その上に豆乳にゼラチンを加えてエスプーマにしたものをのせている。豆腐の上にピータンをのせるという定番の形を逆の発想から表現したものだ。ふわふわで滑らかな食感の豆乳エスプーマとピータンは上品な味わいで、見た目にも口に入れた瞬間にも驚きを隠せない。

スタイリッシュに盛られた、複雑な食感がたまらない「よだれ鶏」

次は、四川料理の定番「よだれ鶏」。涼やかなガラスの器にスライスしたキュウリ、そして極薄くスライスした鶏肉に唐辛子たっぷりのタレをかけ、ゴマとナッツを散らした一品。鶏肉のしっとりとした食感とキュウリのみずみずしさ、ナッツのザクザクとした食感が口の中でリズムを生んでくれる。

秋限定の「春巻き」は、なんと松茸が1本丸ごと!

これからの季節は秋の味覚もふんだんに登場する。秋の味覚の王様でもある松茸が栖原シェフの手にかかると、1本丸ごと春巻きの皮で巻いて揚げた「松茸の春巻き」という一品に仕上がる。このビジュアルにも驚くが、口に入れた瞬間松茸の香りが広がり、秋をダイレクトに感じられる一品だ。見た目のシンプルさからは想像もつかないほど、奥深い味わいで思わず笑みがこぼれてしまう。

究極の自家製麺だからこそうまい、具が無い「焼きそば」

最後に出てきたのは、これまた虚を衝かれたような一皿。

この「焼きそば」は、なんと具材を一切入れず、自家製麺をオイスターソースと自家製スープ、紹興酒などのソースで和えている。自家製麺が主役で、その麺の味わいと食感、そしてソースの滋味深い味わいでどんどん食べ進めてしまうほど不思議な余韻を残してくれる。究極にシンプルながらも味わい深いのは、スープに秘密がある。自家製スープは、水出しの昆布でだしを取り、鶏肉と豚肉を丁寧に煮込んだもの。昆布のうまみが凝縮されたスープが、うまみに広がりを与えてくれるのだ。見た目は確かに地味だけれど、それ以上の驚きがこの焼きそばにはある。

素材を大切にしながら、常に自らの料理を俯瞰で見て研究し続けるシェフ。中国料理の枠組みを超えた新しいジャンルを作り上げた立役者として『龍圓』率いる栖原シェフからこれからも目が離せない。

(撮影/榊智朗)

【メニュー】
ディナーコース 6,000円~
ランチコース 2,500円~
※価格は税抜

龍圓 (リュウエン)

住所
〒111-0035 東京都台東区西浅草3-1-9
電話番号
050-3373-1048
営業時間
12:00~13:30、17:30~20:30
定休日
月曜(祝日の場合は営業、翌火曜が休み)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/5bym1tvp0000/
公式サイト
http://www.ryuen1993.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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