フリーアナウンサーであり、酒サムライの「あおい有紀」が“和酒”の魅力を発信!
いま空前の和酒ブーム! けれども、本当においしい魅力的なお店は? どんな風にオーダーすれば自分好みの逸品に出逢えるの?
唎酒師、一級フードアナリストの資格をもち、大の日本酒好きとして各メディアで活躍中のフリーアナウンサー、あおい有紀さんが自分の足で探し歩いた「とっておきのお店」に行き、お酒と料理を実際に味わいながらじっくりとその魅力を紹介。
今回は連載1回目ということで、まずはあおいさんがお酒に目覚めたきっかけを聞いてみよう。
あのお酒を飲んで、“和酒”に目覚めた!
私のお酒との出逢いは大学時代。好奇心旺盛で、このお酒はどんな味がするのか、どれくらい飲むと限界がくるのかが知りたくて、ビール、酎ハイ、ワイン、日本酒、ウィスキー、ブランデー、テキーラなど様々なお酒にチャレンジしていました。
そんな中、地元の友達と“家飲み”をする際、お酒の購入はもっぱらコンビニで。日本酒は一合紙パックの「鬼ころし」を買って、細いストローでちゅーっと飲んでいました。糖類や酸味料で味が調整されているので比較的飲みやすく、当初、日本酒の味はこういうものだと思っていました。
けれど、大学の部活メンバーはお酒好きな女性が多くて、あるとき地酒に力を入れている居酒屋に行き、全国の地酒を飲み比べするうちに、本来の日本酒のおいしさに目覚めたんです。
大学を卒業した後、航空会社に就職してからも様々な銘柄の日本酒をいただいていましたが、青森出身の人から教わった「田酒」のおいしさに衝撃を受けました。まさに米の酒、という印象、綺麗な口当たりながら芳醇でボリュームあるうまみが広がり、飲みごたえのある味わいで、記憶に残るおいしさでした。
同じ頃、屋久島で「三岳」のお湯割りを飲んで、原料の芋の風味が豊かな乙類焼酎の魅力にはまり、焼酎唎酒師の資格を取得。その後、アナウンサーに転職して、酒蔵を訪れたり、蔵元の方に会ったりしているうちに、伝統文化としての「日本のお酒」の魅力を伝えていきたいと強く思うようになりました。
『SAKE STORY』は地域の魅力を表現してくれる店
今回、ご紹介するのは東京・西五反田にある『SAKE STORY』(サケ ストーリー)です。
こちらのオーナー・橋野元樹さんとの出逢いは、お母様のお店である笹塚『兎屋』時代。当時からすごく一所懸命に日本酒のことを勉強されていて、お客さまにも日本酒の魅力を伝えようという姿勢が印象的でした。
その後、橋野さんが独立して日本酒のお店を出されることを聞き、すでに何度か訪れています。
いざ伺ってみると、18席というお店の中に橋野さんの想いがいっぱいに詰まっていることに感動しました。
『SAKE STORY』は、数カ月単位で、特定の地域をテーマに、その土地のお酒と料理を提供するというのがコンセプト。伺った時は、福島県がテーマでした。
会津木綿のランチョンマットが敷かれ、お通しのお重を開けると福島の郷土料理が満載。橋野さんが実際に福島を訪れた時のお話や、福島の蔵元さんの魅力についてたくさん話してくれて、カウンターに座っていると、まるで会津で飲んでいるような感覚になります。
日本酒はお酒そのものだけでなく、背景にある土地や人などのストーリーも知ることで、より楽しめると思っているので、食材もお酒も酒器もテーブルウェアも、いろいろな角度からその土地の魅力を表現している『SAKE STORY』は、店名の通り、お酒のストーリーを実感できるお店ですね。
初心者からマニアまで楽しめる日本酒の品揃えがうれしい
そんな『SAKE STORY』のとっておきのお酒をいくつか紹介しましょう。
こちらは「飛露喜 純米 初しぼり かすみ酒」(廣木酒造本店)。もぎたてのリンゴや柑橘、洋梨の香りが特徴です。口当たりがとろっとしていて、搾りたてならではの、ちょっとシュワッとした微発泡の刺激が心地いい。とても飲みやすくて、すっと消えていくので、後を引くおいしさです。
日本酒のコンペティションで一位を獲得したお酒が「会津中将 純米吟醸」(鶴之江酒造)。生酒ならではのジューシーさがありつつ、ボリューム感もある。ほんのりとした甘みがあって、奥に苦みが見え隠れする感じ。その一方で穏やかな味わいで飲み飽きしない一本。私もついついお替わりしちゃいます。
「会津娘 特別純米 無為信」(高橋庄作酒造店)。有機栽培の酒米、五百万石で仕込んだ会津を代表する純米酒。燗で味わうと、骨格がしっかりしている印象。うまみに加えて、有機栽培ならではの野性味、力強さが感じられます。
オーナーは高校生で「料理の鉄人」に出場していた!?
子供の頃から料理が好きで、お母様の店である笹塚の居酒屋『兎屋』を10年以上手伝っていたという橋野さんは、25年前、フジテレビの「料理の鉄人」に出場経験があるんです。
なんとその時は17歳の高校生。「コロッケ対決」で予選に挑戦した際に当時作ったのが「すき焼きコロッケ」。現在、お店で提供している看板アイテムの「すき焼きコロッケ」の原型は、この時に作られたもの。
こちらがその「すき焼きコロッケ」。お店のスペシャリテで、ほぼ100%のお客さまが頼むのだとか。A4ランクの牛肉がしっかり入っていて、まさにすき焼きを食べているよう。日本酒に合うように、ソースをかけずに食べられるように工夫されています。
油で揚げてあるのに、割ってみると中から卵黄のソースがとろっと流れ出て、たまらないおいしさ。『SAKE STORY』に訪れたら絶対食べたい一品です。
お重に入ったお通し、「お通し四品+椀物」も名物のひとつ。季節の料理が4種類入っていて、蓋を開けるのが毎回の楽しみ。福島のお酒に合わせて、会津名物のにしんの山椒漬けやいかにんじん、柿の白和えなど、郷土料理を組み入れ、彩りも鮮やか。
「どんちっち鯵の開き」。熱海の干物職人・藤間義孝さん謹製。10%以上脂がのった、島根産のブランド鯵「どんちっち鯵」を特別なフライヤー“Dr.Fry(ドクターフライ)”で素揚げに。身はふっくらしていながら、頭から尻尾まで食べられるのに感動すること請け合い。
同じく熱海・藤間さん作の干物「のど黒の開き」。皮目がぱりっとしているのに、中はジューシーでうまみが凝縮されています。「飛露喜」(廣木酒造本店)と合わせると、脂の感じがほどよくなり、すーっと口の中を洗ってくれます。
日本酒10種とお料理が楽しめる、「特別メニュー」が贅沢すぎ!
実は、2016年に、「日本酒を誰よりも愛し、日本酒文化を誰よりも理解する」、初代“Mr.Sake(ミスター サケ)”に選ばれた、爽やかな雰囲気の橋野さん。いつも凛々しい着物姿でお客さまを出迎えてくれます。
「日本酒のことをもっと知りたいし、伝えられたらいいな、と。日本酒はまだまだ一般の方には知られていないお酒ですが、お客さまには知識を押し付けることなく、楽しんでほしいですね」と橋野さん。
日本酒初心者からマニアまで、幅広い層から人気の『SAKE STORY』。日本酒の魅力に触れたい方、土地の料理と酒をじっくり楽しみたい方にぜひ訪れて欲しいですね。
また今回、会員読者に限って、普段は一週間以上先の予約は、常連さんからご紹介があった方しか受け付けない個室の「特別プラン」を受付してくださるとのこと。
橋野さん選りすぐりの日本酒10種類が入ったお飲み物(他のお飲み物もOK)と、贅沢お料理のセットが楽しめるプラン(1人7,000円)となっています。7〜8名のグループに限り予約できるので、下記の方法に沿って、ぜひご予約を。絶対オススメです!
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