マニアックだから虜になる! 中国辺境”マニアック中華”の『蓮香』にコアファンが集まる所以【白金高輪】

特集:マニアック中華

2019年05月22日
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マニアックだから虜になる! 中国辺境”マニアック中華”の『蓮香』にコアファンが集まる所以【白金高輪】
Summary
1.中国少数民族料理から辺境の郷土料理まで!【特集・マニアック中華】
2.中国辺境・未知の田舎料理を食べ尽くす『蓮香(レンシャン)』
3.10皿以上のおまかせコースは5,900円という驚きのプライス!

いま中国・辺境の「マニアック中華」が大注目されている!

いまフーディーたちから熱い眼差しが注がれる料理ジャンルがある。中国の辺境にある土着の地方料理、小さな村で長く根付いた田舎料理、そして中国少数民族が育んできた民族料理がそれだ。日本ではなかなかお目にかかれない「マニアック中華」、本稿ではそう呼ぶことにしよう。

周知の通り中国はとても広い。また多民族国家で、漢民族を中心に55もの少数民族が固有の風土や土着の文化を築いている。その文化から生まれたマニアックな食材やスパイスを使った「マニアック中華」がいまフーディーたちからの耳目を集めているのだ。

我々日本人にとって馴染みの深い、いわゆる北京料理や広東料理とは異なる、マイナーな中国ローカル料理。いったいどんな料理なのか、どこに魅力があるのか。その先駆的なレストラン『蓮香(レンシャン)』から紐解いていこう。

シェフ自ら訪れた知られざる中国「田舎料理」の世界とは?

いまや予約殺到の中国料理店として名高い『蓮香』。実は、その店名には「郷村菜・蔬菜」というサブネームが付いている(写真下)。

郷村菜とは田舎料理、蔬菜とは野菜料理のこと。『蓮香』のコンセプトはずばりこの2つのキーワードに集約されている。オーナーシェフの小山内耕也さんは、中国江西省の省都・南昌の田舎町で“郷村菜”を学んだ人物。さらに中国・貴州省や雲南省の少数民族料理を提供する麻布十番『ナポレオンフィッシュ』(現在は閉店)でシェフとして手腕を振るってきた実力派だ。当時から中国辺境の地を訪れては、土着の風土や空気感に触れ、調味料使いや家庭料理を習得。『蓮香』では小山内さんが訪れた中国全土・辺境の地にある「田舎料理」をメインに展開している。

料理
中国辺境の田舎料理

特徴
田舎料理といっても実に幅広い。『蓮香』では小山内さんの経験値による“郷村菜”と“蔬菜”で構成される。たとえば、広西チワン族自治区・柳州市の干しダイコンを使った料理や、広東省・順徳区の蒸し鶏料理、さらに江蘇省・無錫(むしゃく)市の白魚と豆腐と新生姜のスープをアレンジした蒸し料理など、他所ではなかなかお目にかかれない田舎料理が再現される。

“再現”といっても、現地そのままの料理もあれば、アレンジもある。酸味や塩味を抑えたり、発酵食品やニンニクを減らしたり、食材や調味料を代替するなど、日本人の味覚に合った田舎料理に再構築されるのだ。「中国の田舎料理は往々にして質素な料理が多い。その田舎料理を調理や調味の工夫で“ごちそう”に変えるのが私の役目です」と小山内さん。以下がその“ごちそう”たちだ。

▲山黄皮蒸魚
広西チワン族自治区の代表的な料理。日本語のメニュー名は「チワン族の山黄皮風味のキジハタ蒸し」。現地で買い付けた山黄皮(シャンホワンピィ)の塩漬けを新生姜と塩漬けの汁でペースト状にして旬の魚と一緒に蒸し、ネギなどの薬味をのせた後、上からジュワーっと高温の油をかける。現地では川魚を使用するが、今回は海魚のキジハタを。写真のように魚を開いて背を上にして盛り付けるのが現地のスタイルだ。

ポイントは山黄皮の塩漬け(写真上)。木の皮に特殊な香りがあり、中国西南地方や少数民族の居住地、石山地区に主に分布。その実はとてもヘルシーで薬草としても活用される。山黄皮の程よいえぐみと絶妙な塩味が白身魚と相まってクセになる。

▲傣族豆豉包菜
少数民族・傣(タイ)族の料理をアレンジ。日本語のメニュー名は「板納豆春キャベツ香り炒め」。小山内さんが「板納豆(いたなっとう)」と呼んでいる傣族の豆豉(とうち)が味の決め手。大豆をすりつぶして唐辛子と傣族のコリアンダーシードを混ぜて、板状に成形し網の上で天日干ししたもの。いわゆる傣族の干し納豆だ(写真下)。

「板納豆春キャベツ香り炒め」はニンニクの薄切りと唐辛子を炒めて刻んだ豆豉を入れて香りを引き出した後、野菜(春キャベツ)を加えて醤油と砂糖で味を調えラー油をふって完成。実にシンプルな料理だが、納豆味噌のようなコクと風味がたまらない。迷わずご飯がほしくなる。現地では、細かく刻んだ板納豆を炒めてご飯の上に乗せて食べることもある。

▲傣族猪皮湯
日本語のメニュー名は「傣族式、豚の皮、青菜のローカルスープ」。現地ではたっぷりの青菜を茹でただけのシンプルな料理。スープというより青菜を食べる一皿として位置づけられる。『蓮香』では干した豚の皮、雲南ハム、トマト、少量の塩を加えてコクをプラス。スープとして提供している。

▲普耳酥豆牙
普耳=プーアール茶、酥=サクサク、豆牙=豆の牙(は)という意味。訳して「発芽大豆、雲南プーアール茶サクサク炒め」。雲南省の田舎料理をアレンジしている。コーンスターチをまぶした発芽大豆を高温でサクッと揚げ、さらに戻しておいたプーアール茶を加えてジュワ~っと揚げていく。油を返して、少量の生姜を入れ、自家製ミックススパイスで調味。パクチーを入れて黒酢を少量加える。

プーアール茶の渋い香りをまとった発芽大豆はビールにぴったり。なお、ミックススパイスは唐辛子、黒コショウ、クミン、コリアンダーシードパウダー、山椒など約30種のスパイスを合わせて自家製している。

中国田舎料理の要「発酵食品」も自家製にチャレンジ!

こうした料理のベースとなるスパイスや発酵食品などは小山内さんが現地で買い付けたものを使用しているが、自家製のものもある。仕込み期間は長期にわたり、たとえば自家製干しダイコンは昨年の冬に仕込み完成したのは今年の春だった。現在は、新生姜の漬物を仕込み中だが、仕上がりは何と約2年後。失敗もあるというから、トライ&エラーの繰り返しである。しかし、こうした発酵食品は中国の田舎料理に欠かせないもの。日本人の味覚に寄り添った田舎料理は、そうした小山内さんのトライ&エラーによって生み出されているわけだ。

そんな“小山内流”に再構築された『蓮香』の料理の魅力は、訪れるごとに新しい発見があるところだろう。知られざる食材や調味料だけではなく、一風変わった組み合わせや意外な調味などは食ツウからの関心も高いという。

「たとえばクレソンは中国ではポピュラーな食材ですし、ミントも一般的に食されていて、ハーブではなく生野菜として販売されています。未知の食材やスパイスを発掘するだけではなく、新しい調理法や使い方などに興味を持つお客さまもいますね」と小山内さんは話してくれる。

5,900円で10皿以上の中国「田舎料理」を食べ尽くそう!

一省一国といわれるほど広大な中国。雲南省ひとつとっても日本より面積が広く、北の住民が南方の田舎料理を見てもどんな料理か分からないことも多いという。その未知の田舎料理を日本で発信することに専念してきた小山内さん自身は青森県出身。実家が農家でもともと郷土料理に囲まれながら育ってきたという。それだけに、田舎料理の魅力を伝えたいという想いが人一倍強く、国は違えど、中国田舎料理の世界にのめりこんでいった。そして前出の『ナポレオンフィッシュ』で中国少数民族料理が中華ファンの間で大ブレイク。満を持して独立オープンした『蓮香』は今やマニアック中華の先駆として独自ワールドを築き上げている。

料理は10皿以上で構成される「おまかせコース」のみ。少人数でも十分な内容だが、人数が増えると品数が増えるというから大勢で訪れるのがおすすめ。それでいて価格は5,900円と驚くほどリーズナブル。さらに紹興酒やナチュラルワインはすべて2,900円均一(スパークリングのみ4,000円)というから人気が出ないわけがない。場所は白金。ぜひ小山内シェフのマニアック中華ワールドにハマってみてはいかがだろうか。

▲小山内耕也シェフ
1976年青森県出身。実家は農家で郷土料理に囲まれて育ってきた。高校卒業後は調理人を目指し迷わず調理師学校へ。中華の道を選択し老舗『銀座アスター』、薬膳・広東料理『南青山エッセンス』、中国・江西省での厨房経験を経て、名店『ナポレオンフィッシュ』を大成功に導く。2015年に満を持して独立し『蓮香』をオープン。自ら中国辺境の地へ訪れ、そこで出逢った田舎料理や家庭料理を独自のセンスで再構築。その魅力を伝え続けている。


【メニュー】
おまかせ日替わりコース 5,900円

※本記事に掲載された情報は掲載日時点のものです。また価格は税込です

蓮香

住所
東京都港区白金4-1-7 1F
電話番号
050-3373-1510
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
18:30~21:00
定休日
不定休日あり
ぐるなび
http://r.gnavi.co.jp/dadd1w870000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。