日本橋のODEN懐石『平ちゃん』がミシュラン一つ星フレンチが手がけるおでん屋として超話題!

東京・日本橋にオープンしたおでん屋『平ちゃん』をご紹介。同店はフレンチレストランの名店『ラぺ』から派生したおでんのお店。フランス料理店ならではのエッセンスを盛り込んだ、懐石風のフルコースのおでんを楽しむことができると早くも話題に。季節の食材を取り入れたおでんは、冬だけの食べ物ではないことを教えてくれます。

2021年10月22日
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日本橋のODEN懐石『平ちゃん』がミシュラン一つ星フレンチが手がけるおでん屋として超話題!

フレンチの名店「La Paix(ラぺ)」の新業態、おでん屋『平ちゃん』オープン

『ミシュランガイド 東京』で一つ星を獲得しているフレンチレストラン『La Paix(ラペ)』。その新業態として、2021年6月、おでん屋『平ちゃん』がオープンした。

『ラペ』の松木一平シェフの実家がおでん屋であったことから、「原点である母の味を“おでん”で表現したい」という想いから、実は、『ラぺ』の限定イベントとしておでんを提供していたが、予約困難なほど大評判となり『平ちゃん』のオープンに至った。

お店は『ラペ』からほど近い場所、東京メトロ半蔵門線・三越前駅から徒歩3分のビルの地下1階にある。外観はシンプル。通り過ぎてしまうほどにさりげなく、つつましい小さな看板が目印だ。

重厚な黒い扉をあけると、地下に続く階段が。秘密の隠れ家に向かうかのような演出に期待も高まる。

まず目に飛び込んで来るのはきらびやかなオープンキッチン。「いらっしゃいませ」と爽やかな声で迎えつつも、皆とてもキビキビとした動きで凛とした空気が流れている。

オープンキッチンを囲むようにしてカウンター席が配置されており、さながらバーのようなモダンな雰囲気。壁には現代アートがかかっているかと思いきや、実は生産者さんや関係者など、『平ちゃん』にゆかりのある人たちが書いた「平」の字の寄せ書き。

このことからも、実に多くの人に支えられているお店だということがわかる。また『ラペ』は、フランス語で平和という意味もあり、人とのつながりや調和を大事にしているという気持ちも込められている。

シェフの根内大和さん(写真上)。『ラペ』時代からの腕を買われて、『平ちゃん』の調理を任された。

「子どもの頃から料理をするのが好きだったんです。家族からおいしいって言われると本当にうれしくて、将来は絶対料理人になると決めてたんです」と根内さん。

高校の調理科を出た後は、ホテルで日本料理とフランス料理を修業し、その後、都内のレストランで腕を磨いていたところ、松本一平シェフと出会い、今に至っている。

ディナーはコース仕立ての「おでん懐石」

メニューは昼も夜もコース1本のみ。ランチは4,950円、ディナーは9,900円。その中から今回はディナーコースから4品を紹介しよう。

まずは「おでんサラダ」(写真上)。

ベビーリーフやからし菜、渦巻きビーツ、トマト、ししとう素揚げ、みょうが甘酢漬けなど色鮮やかに盛り付けて、そこに、からすみとパルメザンチーズをかけてうまみをプラス。「おでんサラダ」というだけに、玉子とジャガイモがトッピングされているのが特徴だ。

野菜は埼玉の『榎本農園』から直接仕入れている。味の濃い、高糖度トマトを作っている農家さんだが、他にもさまざまな野菜を作っており、その質の高さにほれ込んで使っているとか。

玉子は甘みが強く、味が濃い「那須御養卵」を使用。黄身の色も鮮やかでとてもキレイ。とろりととける半熟の黄身は臭みがなく、本当に濃厚だ。
ジャガイモは一度味をしみ込ませたものをフリットしているので外は香ばしく、中はホクホクとした食感。

ワインの酸味を感じるドレッシングなど、どこかフレンチのエッセンスを感じられるのが小気味いい。

素材勝負! ふわっとやわらかいイカのミンチが決め手

続いては、「いか」(写真上)。

これまでは「いかしゅうまい」を出していたが、よりダイレクトにいかの味を感じてもらいたいと試行錯誤の末たどり着いたのがこちらのカタチ。

イカの中にイカのミンチを入れた、“イカめしスタイル”だ。

だしはカツオ、昆布、白醤油、みりん、お酒を使い、京風の味わいに仕上げている。

だしの味は繊細でやさしく、のどの奥からスーッと身体にしみ込んでいくよう。口の中でイカのミンチとだしが一体化して、こちらはまさに日本料理の味わいである。

おでんを春巻きに?! パリッとした皮からあふれるうまみ

3品目は「春巻」(写真上)。

おでんの春巻き、ってどういうこと? と思うかもしれないが、実は「平ちゃんのスペシャリテ」とメニューに銘打ってるほど、自慢の一品だ。

オリーブの搾りかすを与えた千葉県産「オリヴィアポーク」のロース肉と、やわらかく炊いたおでんの大根を交互に並べたものを皮で巻き、香ばしくカラリと揚げている。

「本当に熱いのでやけどしないように気を付けてくださいね」と根内シェフ。

ハフハフしながらいただくと、パリッとした歯ごたえの皮の中からうまみたっぷりな豚肉と、やわらかく炊いた大根がアツアツで出てくる。

「オリヴィアポーク」は人間の体温に近い36度が融点と言われているので口溶けが良く、とてもジューシー。また塩麹を使っているので、ほんのり甘く、ほどよい塩気がアクセントとなり風味豊か。斬新なスタイルのおでんだ。

またお皿にも注目してほしい。新店オープンに合わせて、店のコンセプトに合うスタイリッシュな有田焼を探したそうだ。

まさに原点! 素材のおいしさを引き出したおでん

最後は真骨頂の「おでん」(写真)。つくね、つみれ、こんにゃくの3種盛りだ。

つくねは「大山どり」のミンチと軟骨を使い、ネギのシャキッとした歯ごたえも楽しい一品。つみれはイワシのみを使い、山芋と卵白でふわふわに仕上げている。こんにゃくは奈良の黒米(古代米)を練り込んだものを使っているので、独特の歯ごたえがあり、香ばしい。

トッピングされている柚子胡椒は、愛知西屋の「粗びき熟成ゆず胡椒」。ピリッと際立つ辛さだが、繊細なだしの味をまったく邪魔しない上品な味が、おでんのおいしさをグッと引き上げてくれる。

夏秋のおでんには爽やかなシャンパンが好相性

お酒のラインナップはいろいろあるが、中でも注目なのが和歌山県『平和酒造』のクラフトビール。和山椒と呼ばれる「ぶどう山椒」特有の、白ブドウを思わせる香りと山椒ならではのしびれも感じられる爽やかなビールは夏秋のおでんにうってつけ。

トロピカルな味わいときめ細かな泡を楽しめるフランスのシャンパン「マム グラン コルドン」も食前酒としておすすめだ。

写真は右から支配人の平田さん、根内シェフ、柳下さん、藤元さん。活気あるスタッフ達がおでんのニュースタンダードを目指している。

これまでのおでんから、新しい「ODEN」へ。
『平ちゃん』だけのおでんを目指して、彼らの挑戦ははじまったばかりだ。

【メニュー】
ランチ 4,950円 (税込み・サービス料別)
ディナー 9,900円 (税込み・サービス料別)

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。価格は税込です
※コロナ対策として来店時に検温の実施、消毒をお願いしています

平ちゃん

住所
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1丁目12-10 B1
電話番号
050-3623-1723
営業時間
ランチ 11:30~13:00(L.O.)、ディナー 18:00~20:30(L.O.)
定休日
木曜
公式サイト
http://heichan.jp/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。