初リリースは3,600本のツウなら知っている若手の1本

【連載】金曜日のシャンパーニュ week8  ここ数年、シャンパーニュを飲む人が増えている。香り、味わい、爽快感…他の「泡」では得られない満足感はシャンパーニュならでは。そこで、ちょっとリッチに過ごしたい金曜の夜に飲みたいシャンパーニュを日本を代表するワインジャーナリストでシャンパーニュ通として知られる柳忠之さんにセレクトしていただいた。

2015年12月04日
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初リリースは3,600本のツウなら知っている若手の1本
Summary
・ジャック・セロスも認めた生産者
・ファーストヴィンテージは2000年
・発売と同時に店頭から消えるほどの人気

先週、Facebookのタイムラインには、某百貨店が毎年暮れに開催するシャンパーニュのイベントが連日のようにアップされていた。来日した生産者とのツーショット写真で、やたら目立ったのがセドリック・ブシャール。シャンパーニュ南部、オーブ県のRMだが、えらい人気である。そんな画像を見ていたら、彼のシャンパーニュを久しぶりに飲みたくなった。

広尾のシャンパンバーでいただく夜

・・・ということで、今宵は恵比寿の「アレシア」へ。
私がセドリックの元を初めて訪ねたのは2007年のこと。その年のゴー・ミヨーのワインガイドで、シャンパーニュ地方のベスト生産者に選ばれた。0.9ヘクタールのブドウ畑を借り受けて、初めて醸造したのが2000年。02年に初リリースした本数はたったの3,600本にすぎない。「オレのシャンパーニュはオートクチュール」と吠えたセドリック。当時まだ31歳の若造が、なんたるビッグマウス(!)と思ったものだ。

カリスマが一目置く

単一品種の単一のリュー・ディ(lieux-dits=ある種の区画)から造られた単一年のシャンパーニュ。ガス圧は4気圧半と低く、ドザージュ・ゼロのそれは、シャンパーニュというよりむしろワインに近い。いや、セドリック自身、本当に造りたいのはワインなのだろう。無論、本格的にワインを造るには寒すぎるといった事情があるにしても、彼にとって気泡はお飾り程度にすぎないのだ。
そういえば3年ほど前に再訪した際には、こんなことを話していた。RMのカリスマとして知られるジャック・セロスは、自分のところを訪ねてくる愛好家に、セドリックのもとも訪ねるようすすめるという。お互い一度も面識がなく、シャンパーニュのスタイルは正反対であるにもかかわらず……である。巨匠がセドリックの力量を認めている証であろう。
初めて訪ねた時、いわゆるドメーヌものの「ローズ・ド・ジャンヌ」はピノ・ノワールのレ・ズュルスュルのみだったが、その後、シャルドネのラ・オート・ランブレとピノ・ブランのレ・ボロレが加わり、現在はさらに増えて、全部で7アイテムを造っているらしい。いずれも生産本数が少なく、リリース直後に消えてなくなる、まさに幻のシャンパーニュと化している。

アレシアのソムリエール、川本ちひろさんも、セドリック・ブシャールのシャンパーニュに惚れ込み、ランスやエペルネから遠く離れた辺鄙な村、セル・シュール・ウールスまで訪ねた口だ。カウンターに並ぶのはピノ・ブランのラ・ボロレと複数のピノ・ノワールのクローンが植わっているというプレル。いつでもあると思うなローズ・ド・ジャンヌ、急いで行かねばなるまい。

※柳忠之さんのスペシャルな記事『キンメリジャンがワインに何を与えるのか?~ワインマニアのためのテロワール講座その1~』はこちら

ALETHEIA (アレシア)

住所
〒150-0012 東京都渋谷区広尾5-17-8 アプリシエ広尾2F
電話番号
-
営業時間
19:00~翌L.O.1:30
定休日
定休日 月曜・第2&4火曜休

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。