利き酒師・あおい有紀アナがこっそり通う店! 下北沢『namida』は心躍る美酒と料理が揃う小料理店

唎酒師、一級フードアナリストの資格をもち、大の日本酒好きとして各メディアで活躍中のフリーアナウンサー・あおい有紀が、選りすぐりの和酒のお店を訪れ、お店とお酒、人の魅力に迫る!
# 小料理×日本酒×日本ワイン namida 下北沢

2018年10月26日
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利き酒師・あおい有紀アナがこっそり通う店! 下北沢『namida』は心躍る美酒と料理が揃う小料理店
Summary
1.下北沢の路地の裏にある、和酒好きがこっそり訪れる隠れ家「日本酒とワインと小料理」の店
2.素材を活かしたモダンな和食に合う、40種類の日本酒と、こだわりの日本ワイン
3.お酒の新しい魅力と出逢えるような、店主のさりげないおもてなし

自他共に認める日本酒好きのフリーアナウンサー「あおい有紀」が“和酒”の魅力を発信!

自他共に認める日本酒好きのフリーアナウンサー「あおい有紀」が“和酒”の魅力を発信!
いまや空前の和酒ブーム! 日本酒や焼酎、日本ワインなどの“和酒”が楽しめるお店が急増している。けれども本当においしい魅力的なお店は? そのお店のお酒や料理はどう楽しめばいいの?

唎酒師、焼酎唎酒師、一級フードアナリストなどの資格をもち、大のお酒好きとして各メディアで活躍中のフリーアナウンサー、あおい有紀さんが自分の足で探し歩いた「とっておきのお店」を訪れ、選りすぐりのお酒と料理を実際に味わいながらじっくりとその魅力に迫ります。

下北沢の路地裏にひっそりと佇む、和酒と小料理の隠れ家

こんにちは。あおい有紀です。
秋も少しずつ深まり、秋の味覚と「ひやおろし」がおいしい季節になりました。10月、蔵元では日本酒の仕込みが始まります。今回は、おいしいお酒と季節のお料理を、ゆっくり楽しめるようなお店をご紹介しましょう。こだわりの日本酒と自然派ワインに合わせた小料理をコンセプトにした、大人の和食店『namida(ナミダ)』です。

『ナミダ』は下北沢駅から徒歩2分ほど。表通りから1本入った、さらに路地の裏にあるので、普通に歩いていても見つかりません。入り口がわかりにくいのですが、この小さな明かりを目印に。

中へご案内しましょう。

小ぢんまりとした店内は、10席のカウンターを中心に、テーブル席が1卓。スタイリッシュな中に、温かみのあるインテリアです。

いつもの席について、まずは、本日のお料理とお酒のラインナップについて、店主の田嶋善文さんから伺います。お料理は3種類のおまかせコースのみ。私はいつも5,000円のコースを選び、それぞれに合うお酒を選んでいただいています。田嶋さんのお料理は繊細でいて、ひとひねり工夫されているので、どんなお料理が出てくるだろう、どんなお酒と合わせるのだろうとワクワクします。

今回はお料理とお酒を4品ずつ合わせていただくのですが、そのうちひとつが日本のワイン!楽しみです。

素材を活かしたモダンな和食に、選び抜かれた和酒が調和

一品目は「あわびとあわび茸の蒸し物」(写真上)。
クロアワビを生きたまま64℃で柔らかく蒸しあげ、70℃で蒸したアワビ茸とともにだしに浸します。磯の香りが漂う、柔らかなアワビと、歯ごたえのあるアワビ茸の食感の組み合わせが楽しく、豆乳の泡が全体をふんわりと包み込みます。菊の花びらが、秋を感じさせますね。

このお料理に合わせたのは、にごりワインで有名な滋賀 『ヒトミワイナリー』の白ワイン「ソワフ ブラン 2017」。岩手県産のナイアガラと山形県産デラウエアを使用し、低温で自然発酵させてあります。ノンフィルターならではの“にごり”が特徴。ソワフとは「乾き」という意味で、気軽に喉をうるおしてほしいという造り手の思いが込められているそうです。

まず香りを確かめます。デラウエアの甘く華やかな香り。

口にすると、おぉ、意外なほどの辛口です。すっきりとした飲み口で、引き締まった酸味もあり、うまみも感じられますね。後味には、わずかにほろ苦さが漂います。この香りと味わいのギャップが面白いですね。お料理と合わせると、蒸したアワビとだしのおだやかなうまみを引き立ててくれます。

二品目のお料理は「蛸と大根 part1」(写真上)というユニークな名前。
縦横に細かく包丁を入れた生の水ダコを65℃で湯通しし、柔らかな食感に。煮大根の大根おろしに、べったら漬けのコンカッセ、大根葉の飾り切り“唐草大根”が添えられ、山椒オイルがかけてあります。火の通し加減が絶妙なタコのうまみに、べったら漬けのコリッとした食感と甘み、山椒オイルの爽やかな香りがアクセントとなり、飽きないおいしさ。

合わせたのは「みむろ杉 純米吟醸 山田錦」。「三諸杉(みむろすぎ)」で知られる奈良『今西酒造』の限定流通ブランドです。山田錦を100%使用し、精米歩合は60%。こちらを冷酒で出していただきました。

香りは穏やか、味わいはフレッシュでいてあとからお米のうまみがふわっと広がります。「序盤にこれをお出しして、嫌な顔をされる方はいないです」と田嶋さん。お料理と合わせると、タコと大根のやさしいうまみに、お酒のうまみが溶け合って、しみじみと幸せに。
徳利が出てきましたけど、次のお酒はお燗酒ですか?

「いえ、常温です。これは常温がいちばんおいしいんですよ。「松の司」は、味わいとしては薄い部類ですが、ボクサーのような引き締まったうまさが特徴なんです。でもこれは、中でもしっかりした味のお酒です。」と田嶋さん。
なるほど、生酛(きもと)純米の甕(かめ)仕込みなんですね。どんなお料理と合わせるんでしょう。

「はい、このお酒に合わせた三品目はこちらです。この料理名も『蛸と大根』」。
同じ名前のお料理が2つ続くんですね、面白い!

三品目の「蛸と大根 part2」(写真上)。
タコと大根の柔らか煮。しっかりした濃いめの味付けでじっくりと煮含められたタコと大根は、さきほどの爽やかさとは対照的。オリーブオイルと黒七味が添えられているのが、新鮮なアクセントです。天に盛られているのは珍しい「タブの実」。天草産の野生の木の実をお店でセミドライにしたもの。いちじくのようなぷちぷちした歯触りと凝縮感のある甘みが、印象に残ります。

合わせたお酒は滋賀『松瀬酒造』の「松の司 生酛純米酒 甕」。滋賀県竜王町産の酒米を使い、生酛造りで醸した純米酒。精米歩合は65%。口当たりが柔らかいけれど、骨格がしっかりしています。

ほどよい酸味に、芯の通った自然なうまみ。しっかりした味わいの料理にもよく合い、飲み飽きません。たしかに常温で充分。「いろんなうまみが層になっていて、どんな料理にも合う。こういうお酒に関しては、ペアリングという言葉が馬鹿らしくなってきますね(笑)」と田嶋さんがおっしゃるのも、飲んでみて納得しました。

最後の四品目。秋らしい「秋刀魚の肝醤油焼き」(写真上)です。
秋刀魚の肝を先に焼いて、醤油とみりんで味付けし、液体状にしたものに漬けて香ばしく焼き上げます。

焼きたての熱々にへべす(宮崎県日向市特産の柑橘)のスライスとディルバターをのせて供されます。添えられたのは枝豆の当座煮。へべすとバターを裏返し、バターが溶ける間に枝豆をいただいていると、ディルがふわっと香ってきます。秋刀魚をひと口いただくと、肝醤油の濃厚なうまみと、香ばしさに感動! あとからディルの風味が漂います。スタイリッシュな器は益子焼です。

「おだやかなうまみをもった、クラシックなタイプの食中酒です。“大人のペアリング”が楽しめるはず」と田嶋さん。純米大吟醸をあえてぬる燗にするんですね。秋刀魚の脂に合いそうです。

合わせたお酒は栃木『惣譽(そうほまれ)酒造』の「惣誉 生酛仕込 純米大吟醸」をぬる燗で。特A地区の山田錦を使用し45%まで磨いた、生酛造りの純米大吟醸なので、とても繊細で上品な味わいのお酒です。これをぬる燗にすることで、日本酒のうまみがふんわり膨らみ、脂ののった秋刀魚、肝醤油、そしてディルバターのうまみやコクとの相乗効果が楽しめます。強い主張のあるタイプではないのですが、お料理と合わせた時に、しっかり支えてくれ、全体の味わいがきれいに整うことに感動しました。

こちらのお店のもうひとつの魅力は、素敵な器も楽しめること。
以前から少しずつ集めてきた酒器のほか、益子などの現代作家もの、骨董市で求めたものや、田嶋さんのご実家の長持にしまわれていた昭和初期~中期の生活雑器などがさりげなく出てくるのです。

古いものと現代作家さんの器の絶妙な組み合わせは、田嶋さんのお料理のスタイルにとてもマッチしているように感じます。うまみののったタイプの西日本のお酒を多く揃えられているため、酒器はお酒の味わいがじんわりと口の中で広がる平盃が多いそう。

お酒の新しい魅力と出逢える、店主のさりげないおもてなし

店主の田嶋善文さんは、和食、ふぐ料理店、イタリアンなどで修業され、2014年に独立されました。素材のよさを最大に引き出すため平山式低温スチーム調理を取り入れたり、フードドライヤーを導入したりと、素材を活かしたお料理を追究する研究熱心さが伝わってきます。

「私のペアリングの考え方としては、料理のうまみとお酒のうまみを同調させることが多いですね」という田嶋さんは、ソムリエと唎酒師の資格もお持ちで、ワイン、日本酒、ときには焼酎と、さまざまなお酒を合わせてくれますし、お客さまの様子を見ながら、臨機応変に献立もお酒に合わせてくださる心配りも嬉しいです。

ワイン好きの方にあえて日本酒をおすすめしたり、冷酒がお好きな方に燗や常温のお酒を出して、そのおいしさに開眼させたりと、日本酒がもっと好きになるきっかけを作ってくださるのもいいですね。

和食に限らず、中華やフレンチ、ラーメンなど、さまざまな業種・業態の料理人の方ともコラボディナーを開かれたり、海外のお店とも交流を持たれているそう。これからも日本酒や和食の魅力を素敵に国内外に発信してくださるでしょうし、進化がとても楽しみなお店です。

みなさんもぜひ、『ナミダ』で田嶋さんのお料理とお酒の新しい魅力を楽しんでください。

【メニュー】
おまかせコース
5品 3,500円
8品 5,000円
namida会席コース 8品~ 8,000円~
日本酒 グラス600円~
ワイン グラス600円~ ボトル3,600円~
生ビール サッポロ琥珀エビス グラス600円
※価格はすべて税別


編集協力:糸田麻里子(フードライター・エディター)
撮影:佐々木雅久
店外観・店内画像撮影:佐藤拓央

namida(ナミダ)

住所
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-28-7 エルフェアシティⅡ 1F
電話番号
050-3373-7272
営業時間
18:00~翌1:00
定休日
不定休日あり
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/7awjvca00000/
公式サイト
http://www.namida-tokyo.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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ライター/作詞家/ミュージシャン