フランス・アルザスからやってきた宇宙のエネルギーがたっぷり詰まった? 自然な"アワ"

【連載】東京・最先端のワインのはなし verre23  ヴァンナチュール。自然派ワインとも訳されるこのワインは、これまでのスノッブな価値観にとらわれない、体が美味しいと喜ぶワイン。そんなワインを最先端の11人が紹介する。

2016年04月27日
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フランス・アルザスからやってきた宇宙のエネルギーがたっぷり詰まった? 自然な"アワ"
Summary
1.15年以上ビオディナミを実践
2.糖分添加の一切ないナチュラルな"アワ"
3.高級なシャンパーニュに通じる味わい

1705年からの歴史あるドメーヌ

高品質なナチュラルワインの造り手が数多いることで知られるアルザス地方。今回、日本橋蛎殻町『ラ・ピヨッシュ』店主・林真也さんがおすすめするドメーヌ・ジュリアン・メイエーはその中でも、特に評価の高い存在だ。
このドメーヌは、1705年から存在するというアルザスの中でも比較的長い歴史を持つドメーヌ。もともとほとんどの畑が無農薬であったが、現当主・パトリック・メイエー氏の代になり1990年から完全無農薬に、1999年からはビオディナミを実践している。

ビオディナミ実践者の間では有名ではあるが、マスコミ嫌いなため露出も少ないから、知る人ぞ知る造り手であったが、高品質なワインは知れ渡り、ナチュラルワインとは関係ない? ロバート・パーカーですら高い評価を下したほど偉大なドメーヌといえる。

CREMANT D'ALSACE BRUT "0" 2008 / Domaine Julien Meyer(クレマン・ダルザス・エクストラ・ブリュット・ゼロ2008/ジュリアン・メイエー)

ドメーヌ・ジュリアン・メイエーの造るワインの中でも、特に素晴らしいとされるのが、クレマンだ。シャンパーニュを名乗るにはシャンパーニュ地方で、定められた方法で造られたものでないといけないが、クレマンとはシャンパーニュとほぼ同じ製法で造られた優しい味わいの“アワ”のこと。アルザス地方で造られるものはクレマン・ダルザスという名称がつく。

ジュリアン・メイエーのクレマンは、あのサロンとも通底するエレガントさがあると人気で、リリースするとすぐ完売してしまうほどの人気。


このブリュット0はその名の通り、辛口=ブリュットで、ドサージュ=糖分添加がゼロ、つまりノンドサージュという1本。二酸化硫黄を一切添加せず、通常のシャンパーニュより長く、5~6年にわたり瓶熟成。泡立ちはクリーミーでアフターもかなり長く、シャンパーニュを越えるミネラル感がある。セパージュについては、以前はオーセロワをベースにピノ・ノワールやリースリングがブレンドされていたが、最近はピノ・ブラン100%となっている。

<林さん>
実はパトリックさん、先日お店に来ていただいたばかりなんです。昔から新井順子さんが紹介されるテキスト読んでいて存じ上げていたので、お会いするまでは哲学的でセオリーがしっかりあって真面目な方というイメージでした。
でも、お話するともっとざっくばらんな方。ご自分で「僕は脳みそは小さいけどハートは大きい」と仰る、まさにハートで生きている方。

ワインの味わいについても、ソムリエ用語的なにかテクニカルな話であったり、凝り固まったスタイルで語る必要が無いというのスタンスです。「感じたいように感じたらいい」と。

このブリュット・ゼロのエチケットは、チェコで画家をしている友人のJiri Votruba(イジー・ボトルバ)さんに描いてもらったらしいのですが、よく見ると宇宙人らしきものが飛んでいたりするくらい自由なんです。

ソムリエがよく言うような「りんごの果実の…」とかいう言葉は返ってきません。もしかしたら、フランス語をいっぱい喋れても理解できないかもしれないのですが、「上から垂直に落ちて戻っていく」というイメージ画像のようなものを言葉にするだけなんです。

彼はとても感情的な部分があって、すぐに泣くらしいんです。今回も、メイエさんだけの会をやったことに感激してくれて、涙ながらに外国で自分のワインがこんなに揃って楽しまれていると語っていたし、翌日もそれを思い出して泣いていたそうです。そんな人柄というか、世界観、エネルギーが詰まっているのがこのワインなんです。

そういえば、このクレマンとは別にもう一つ面白い話を。
シルヴァネールに3カ月ほどマセラシオンしたミュスカが10%ほど入っているキュヴェがあるのですが、そのことについて質問すると「マセラシオンしたのは、流行ではなく僕のワインをこの地球にアダプトさせること」と。地球環境が変わってきているのにワインがずっと同じ造りのままであることはないというのです。そういった環境下でバランスを取るためにマセラシオンをやってみたというのですから、他の人とは視点が違う方なのです。

<価格>
ボトルのみ20006~2009年までのヴィンテージは各7,800円+税

La Pioche (ラ・ピヨッシュ)

住所
〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1丁目18-1
電話番号
03-3669-7988
営業時間
月~金 17:30~L.O.23:00、土・日・祝 16:00~L.O.23:00
定休日
不定休 (1月は~12日、18日、26日がお休み)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/p1ms2pcn0000/
公式サイト
https://www.facebook.com/2013lapioche

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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